1-08 ファイナンスの最近のブログ記事

家の近くの焼き肉屋さんでお昼を食べてきたのですが、なんとアーブチャンスを発見しました!(英語では通常、Arbitrage Opportunityと表現します)

このお店では次のようなランチセットがありました。

  • 焼き肉ランチ(米国産) 1000円
  • 焼き肉ランチ(日本産) 1200円

そして、肉おかわりというものもありました。

  • 肉おかわり(米国産) 350円
  • 肉おかわり(日本産) 400円

お、アーブチャンス!と思ってしまいます。
(貿易だったり、スワップだったりで出てくる比較優位の話です。ここでは、米国産vs日本産で、「焼き肉ランチ」では米国産が比較優位、「肉おかわり」では日本産が比較優位にあると考えられるわけです)

まあ、実際にはアーブ(Arbitrage)ができるわけではない(ショートポジションが取れない)のですが、米国産+日本産を食べる場合には割安に食べることができます。

  1. 焼き肉ランチ(米国産)+肉おかわり(日本産) = 1000円+400円 =1400円
  2. 焼き肉ランチ(日本産)+肉おかわり(米国産) = 1200円+350円 =1550円

つまり、基本セット+肉おかわりを食べ、日本産と米国産をともに食べたい場合、上記1の組み合わせで食べると、上記2の組み合わせで食べた場合よりも150円安く食べることができるわけです(ちなみに、「肉おかわり」に入っている肉の量は、基本セットに入っている肉の量と同じです)。


お店としてはどうしてこのようなプライシングにしたのでしょうか?

不思議で仕方ありません、、、


読まれている方によっては、まったくわけのわからないことを書いているように思われるかもしれませんが、ファイナンスの実生活への応用みたいなものだとお考えください。

しばしばこのブログにもコメントをくださる投資一族の長さんが、電話におけるSpell確認方法というエントリーを書かれていました。

d for dog

t for teacher

などといった電話においてスペルを確認するときに使う単語についてです。

彼がエクデリ系だったので、ぼくはクレデリ系の雰囲気でやってみました。一部かぶっているところもありますが、こんなんでいかがでしょう。


a for arbitrage
b for Brownian motion
c for credit default swap
d for default probability
e for expected loss
f for floating rate note
g for Gaussian copula
h for hazard rate
i for intensity
j for jump process
k for Kendall's tau
l for loss distribution
m for martingale
n for normal distribution
o for on the run index
p for Poisson process
q for quanto risk
r for recovery rate
s for survival probability
t for tranche
u for unwind
v for value on default
w for Wiener process
x for eXotic product -> Xover
y for yield
z for zero rate

クレジットデリバティブ市場をより多くの方に、正しく理解していただくために、ISDAジャパン・クレジットデリバティブコミッティリサーチ・ワーキンググループがQ&Aを作成したそうです。詳細は以下の通りです。


 
クレジットデリバティブに関するQ&Aの掲載について

今般、東京金融取引所は、ISDA Japan Credit Derivatives Committee: Research Working Group(ISDAジャパン・クレジットデリバティブコミッティリサーチ・ワーキンググループ)が作成したクレジットデリバティブに関するQ&Aを、CDS参考値を公表するサイト「J-CDS(http://www.j-cds.com/)」に掲載致しました。
 本Q&Aは、昨今の金融危機下において、ISDAの各メンバーに寄せられるCDS取引を中心とした質問や、マスコミ報道等に見られるトピック等を踏まえたうえで、CDS取引を中心としたクレジットデリバティブ市場の現状について説明するために作成されたものとなります。

 本内容は、下記からご覧頂けます。

 http://www.j-cds.com/jp/faq/

[ ISDA Japan Credit Derivatives Committee: Research Working Group
(ISDAジャパン・クレジットデリバティブコミッティ リサーチ・ワーキンググループ)について]

 ISDAはデリバティブに関する世界最大の任意団体であり、デリバティブの実務の発展のために各種活動を行っています。
ISDAの一委員会であるJapan Credit Derivatives Committeeにおいては、本邦におけるクレジットデリバティブ市場の主要参加者(銀行、証券会社、保険会社、運用会社等を含み、ディーラー、投資家いずれも含みます)や弁護士等の専門家が多数集まり、クレジットデリバティブ市場における実務的な問題、リスク管理、ドキュメンテーション等について活発な議論を行っています。                                   

以 上

 
 
(本件に関するお問合わせ先)
株式会社 東京金融取引所
市場部 調査室
Tel:(03)3514-2418
Fax:(03)3514-2425
E-mail:info@tfx.co.jp
URL:http://www.tfx.co.jp/

http://www.tfx.co.jp/newsfile/09/20090202info.html

詳しく書かれているのでかなり参考になるかと思います。

様々なメディアでいろいろな書かれ方がされているクレジットデリバティブですが、少しでも多くの方に正しく理解された上で、現実的かつ建設的な議論が行われていくとよいと思います。

最近、雇用を維持するために内部留保を活用するべきだ、的な意見が様々なところで見られます。例えば、ちょっと探してみただけでも以下の通り。ただ、この内部留保を活用する、という表現の意味が個人的には理解不能なのです。


大手製造業、株主重視で人員削減 内部留保、空前の33兆円

 大量の人員削減を進めるトヨタ自動車やキヤノンなど日本を代表する大手製造業16社で、利益から配当金などを引いた2008年9月末の内部留保合計額が、景気回復前の02年3月期末から倍増し空前の約33兆6000億円に達したことが23日、共同通信社の集計で明らかになった。

 過去の好景気による利益が、人件費に回らず巨額余資として企業内部に積み上がった格好。08年4月以降に判明した各社の人員削減合計数は約4万人に上るが世界的な景気後退に直面する企業は財務基盤の強化を優先、人員削減を中心とするリストラは今後も加速する見通し。

 08年度の純利益減少は必至の情勢だが配当水準を維持、増やす方針の企業が目立ち株主重視の姿勢も鮮明だ。

 派遣社員などで組織する労働組合は「労働者への還元が不十分なまま利益をため込んだ上、業績が不透明になった途端、安易に人減らしに頼っている」と批判している。

 集計によると内部留保の合計は01年度末の約17兆円から08年9月末に98%も増加。この間に米国の金融資本主義が広がり「株主重視」の経営を求める風潮が日本でも強まった。増配や自社株買いなどで市場での評価を高める経営手法がもてはやされた。

2008/12/23 22:08 【共同通信】

http://www.47news.jp/CN/200812/CN2008122301000451.html


共産党、トヨタに非正規労働者らの解雇中止を要請

 共産党の志位和夫委員長は24日、党本部でトヨタ自動車の古橋衛専務ら幹部と会談し、非正規労働者らの解雇を中止するよう申し入れた。志位氏は「内部留保や中間配当を取り崩せば雇用は守れる」と主張。トヨタ側は「内部留保を取り崩してまで期間社員を守ることはできない」と述べた。(24日 21:35)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081224AT3S2402L24122008.html


「企業は内部留保の活用を」 雇用対策で官房長官

 河村建夫官房長官は5日午前の記者会見で、派遣社員の雇い止めなど深刻化する雇用問題の対応策として、企業側に内部留保を活用するよう求めた。河村長官は「企業はこういう事に備えて内部留保を持っている。こういうときに活用して乗り切っていくべきだ」と強調した。
 雇用問題が深刻化している一因として「派遣社員の受け入れを進めた企業の体制が問題を引き起こしている」とも言及。「企業の社会的責任がどうあるべきかという議論も生まれてきている」と語った。(05日 16:52)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090105AT3S0500G05012009.html


内需拡大へ雇用環境改善=麻生首相表明-衆院予算委

 衆院予算委員会は9日午前、2008年度第2次補正予算案に関する基本的質疑を続行した。麻生太郎首相は「自律的な内需拡大を図るには労働者の手当てを厚くしないと消費が伸びない。非正規労働者の待遇改善、最低賃金の確保が効果的な対策だ」と述べ、景気回復に向け雇用環境の改善に取り組む考えを示した。民主党の枝野幸男元政調会長への答弁。
 首相は、共産党の笠井亮氏が雇用を維持するため企業に内部留保活用を促すよう求めたのに対し「今までと違い資金繰りが厳しくなり経営者の気持ちも猛烈に固くなっている。内部留保の扱いについては(活用するよう)重ねて言わねばならない」と応じた。 
 一方、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が続いている中東情勢に関しては、中曽根弘文外相が「中東和平担当の有馬龍夫外務省参与の派遣を検討している。わが国は(国連安保理の)非常任理事国となっているから関係国とも緊密な協議をしたい」と述べた。社民党の阿部知子政審会長の質問に答えた。
 与党は2次補正について、関連法案と併せて13日中の衆院通過を目指す方針。これに対し、民主党は2次補正から給付金部分を削除すべきだとして反発している。(了)(2009/01/09-13:51)

http://www.jiji.com/jc/zc?k=200901/2009010900051


一般的に、企業は利益を上げ、そのうち一部を株主に対する配当にまわし、残りを内部留保として将来の成長に向けて蓄積していきます。会計上の利益とキャッシュフローという意味ではその利益は必ずしもその時点における入ってくるキャッシュフローを意味するわけではありませんが、基本的にはお金が入ってくると考えて問題ないかと思います。

ただ、ここで"将来の成長に向けて"企業は、新しいビジネスに投資をしたり、設備投資をしたりしていくわけで、内部留保として入ってきたキャッシュがキャッシュのままあるとは限りません。

ぼくの理解が正しければ、内部留保の蓄積額は会計上「利益剰余金」という項目に該当し、言わばその企業の今までの成績表みたいなものだと思います。つまり、創立以来、その企業がどの程度の利益を稼ぎ、配当を払いだした後に、どの程度企業に残してきたか、を示しているわけです。


例え話として、会社員の例を考えてみるとわかりやすいのではないかと思います。例えば、月収30万円の方が10年間働いたとします。すると、

30万円×12ヶ月×10年=3600万円

の給与収入が10年間であるわけです(賞与はなしとしておきます)。収入からは社会保険料、税金などが差し引かれ、手元には2800万円が残ったとしましょう。

でも、普通は生活していくために、手元に残ったお金から、家賃を払ったり、洋服を買ったり、食事をしたり、スキルアップのために習い事をしたり、パソコンを買ったり、車を買ったり、といろいろと使っていくわけです。その結果、10年間で2800万円を現金として稼いできたとしても、手元には100万円の現預金しか残っていないかもしれません(企業は存続するための費用は基本的にすべて費用となりますが、会社員の場合は生きていくための費用は必ずしも給与収入を得るための費用とはならない、という意味で異なることはとりあえず無視しておきます)。

ぼくには最近の「雇用維持のために内部留保を活用せよ」といった意見は、会社員の例え話で言うと、「この人は今まで2800万円も稼いだきたのだから、この2800万円を活用して、世の中の困っている人たちを助けるべきだ!」と言っているのと同じようにしか見えないのです。

でも、それは難しいですよね。手元には100万円しか残っていないわけですから。

1月14日付けの日経新聞に「雇用Q&A 内部留保活用で雇用守れる?」というコラムが載っていましたし、いつも読ませて頂いている吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュースというブログでも取り上げられていましたので、会計的な話としてはぼくの理解で正しいのではないかと思うのですが、だとすれば上で挙げたような「内部留保を活用して雇用を維持せよ」的な発言は意味不明ということになるかと思います。

初めて会計を勉強した頃、ぼくも利益剰余金に相当するお金があるものだと勘違いして、なかなか理解できなかった記憶がありますが、上のような発言をしている方たちはひょっとしたらまさにそういう理解なのではないかと思います。

もしくは内部留保という言葉の定義が、まったく別の意味で使っているのかもしれませんが。

言葉の意味が正しく理解された上で、建設的な議論がされていくとよいと思います。

12月10日にサイゼリヤが豪ドルクーポンスワップのデリバティブ取引契約を解除し、その損失額を約153億円で確定させた、ということを発表しました。


デリバティブ契約解約に関するお知らせ(平成20年12月10日)
http://www.saizeriya.co.jp/ir_info/jp/pdf_jp/release/release20_12_10.pdf


サイゼリヤ:デリバティブで153億円損失確定

 ファミリーレストラン大手のサイゼリヤは10日、巨額の評価損を出した為替デリバティブ(金融派生商品)について、BNPパリバ証券との契約を解約し、153億円の損失が確定したと発表した。発覚した11月下旬には約140億円の評価損を見込んでいたが、円高が進んだことなどから損失額が膨らんだ。責任を取り、正垣泰彦社長の報酬を12カ月間70%減額するほか、その他の役員12人の報酬も3カ月間10~50%減らす。【小倉祥徳】

毎日新聞 2008年12月11日 東京朝刊

http://mainichi.jp/select/biz/news/20081211ddm008020063000c.html


この取引について少し考えてみたいと思います。まず、クーポンスワップですが、これは例えば次のようなサイトで説明されています。

http://deribatibu.blog.shinobi.jp/Entry/21/
http://www.tr.mufg.jp/houjin/derivatives/coupon.html

別の言い方をすれば、元本交換のない通貨スワップで、例えば、

2年間にわたって、毎月末に、豪ドル5ドルを受け取り、一方で円を500円払う契約

とでも言えるかと思います。

つまり、1豪ドル=100円であれば、1回あたりの受け払いはゼロになります。しかし、もし1豪ドル=50円になってしまったら、1回あたり実質的には250円支払わなければならなくなりますし(損失)、一方で1豪ドル=200円になったら1回あたり実質的には500円受け取ることになります(利益)。

今回のサイゼリヤの取引目的については、以下の記事を読む限りは豪ドルの変動リスクを抑えるため、つまりヘッジが目的であると書かれています。


サイゼリヤ、デリバティブで140億円評価損 円急伸で

2008年11月21日20時18分

 サイゼリヤは21日、08年9~11月期に通貨スワップ契約によるデリバティブ(金融派生商品)取引で評価損が約140億円発生する見込みだと発表した。金融危機で円相場が対豪ドルで急伸したことが響いた。正垣泰彦社長は記者会見で「これほどの豪ドル下落は想定外だった。株主などに申し訳ない」と謝罪した。

 サイゼリヤは豪州の加工工場からハンバーグやミートソースを輸入しているが、取引は豪ドル建てで行っていた。調達する豪ドルの変動リスクを抑える目的で今回のスワップ取引を始めたという。

 契約した取引は2種類あり、一つは豪ドルに対し円が78円(07年10月契約)を、もう一つは69円90銭(08年2月契約)を超えて円高にならない限り、割安に豪ドルを調達できる仕組みだった。だが、金融危機をきっかけに円は急伸。足元では対豪ドルで59円台をつけることもある。

 いまの為替水準が続けば、通期で多額の損失を計上する可能性もあるため、取引の解約を検討しているという。

http://www.asahi.com/business/update/1121/TKY200811210314.html


これだけだとよくわからないので、プレスリリースから取引内容を見てみると、以下のような記載がありました。


デリバティブ評価損発生見込みに関するお知らせ(平成20年11月21日)

① FX参照型豪ドルクーポンスワップ

(見込まれる評価損 71.3 億)想定レート65.00
・ 約定日: 2007 年10 月22 日
・ 約定月末日(2007 年10 月末)仲値=105.83 円/豪ドル(参考)
・ 支払日 : 2008 年12 月1日から2010 年11 月1日まで、毎月1日
・ 豪ドル約定金額 : AUD1,000,000
・ 約定レート : 第一回約定レート 78.00 円/豪ドル
ただし、FXが78.00 円以下の円高になった場合、それ以降の約定レートは以下
の式で計算される。
【前回約定レート】×【78.00/FX】円/豪ドル
下限=78.00 円、上限=600.00 円
・ FX : 各為替参照日の東京時間午後3時のJPY/AUD為替レートの仲値
・ 為替参照日 : 各支払日の5営業日前の営業日


② FX参照型豪ドルクーポンスワップ

(見込まれる評価損 50.2 億)想定レート65.00

・ 約定日 : 2008 年2 月7日
・ 約定月末日(2008 年2 月末)仲値=98.93 円/豪ドル(参考)
・ 支払日 : 2008 年9月1日、2008 年11 月1日、2009 年1月1日、2009 年3月
1日、及び2009 年4月1日以降終了日まで、毎月1日、2011 年3 月1 日まで
・ 豪ドル約定金額 : AUD1,000,000
・ 約定レート:69.90 円/豪ドル
ただし、FXが69.90 円未満の円高になった場合、それ以降の約定レートは以下
の式で計算される。
【前回約定レート】×【69.90/FX】円/豪ドル
下限=69.90 円、上限=500.00 円
・ FX : 各為替参照日の東京時間午後3時のJPY/AUD為替レートの仲値
・ 為替参照日 : 各支払日の3営業日前の営業日

http://www.saizeriya.co.jp/ir_info/jp/pdf_jp/release/release20_11_21.pdf


正直、この書き方だと、よくわかりません。

ぼくが為替のデリバティブのタームをまともに読んだことがないことも一因かとは思いますが、このプレスリリースを作られた方は明らかに慣れていない気がします(もちろん契約相手のBNPパリバから受け取った資料をそのままコピーした可能性もありますが)。

細かいことですが、単位とかが平気で抜け落ちています。ほぼ同じなので①の取引について見てみます。

評価損71.3億 円?豪ドル?(まあ、円であることは自明ですが)

想定レート65.00 円/豪ドル? ですよね。

「豪ドル約定金額」って、どういう量なのでしょうか?想定元本ではないのか?クーポンスワップだったら、円の方も必要なのでは?

「【前回約定レート】×【78.00/FX】円/豪ドル」って、分母分子逆ってことではないのでしょうか?例えば、第2回目の約定レートって、もしFX=70とかだったら、第1回目の約定レートが78.00なので、78.00×78.00/70.00 = 86.91 とかになります。あ、でも、下限、上限なんてのが設定されているので、この式は正しく、単なるクーポンスワップではなく複雑な形になっていたのかもしれません。

これって、一体どんなスワップだったのでしょうか、いまいち全体像がつかめません。契約期間が2年間で評価損が71.3億円なので、ざっくりだと、1ヶ月あたり約3億円の損失ということになります。

約定日月末の為替レートと、想定レートの差が約40円/豪ドルなので、、、とか考えても、「豪ドル約定金額」の数字にはたどりつかないような気がします。

アップフロントで円を払う、豪ドルを受け取るようなタイプなのかな、とかも思いますが、それってクーポンスワップなのでしょうか。


情報のない中でこれ以上推測しても仕方ありませんが、今回のサイゼリヤの取引は必要だったのでしょうか。もし、実際に為替リスクをヘッジする目的で取引を行ったのであれば、そもそもこのデリバティブは解約する必要がないと思います。

というのは、解約してしまえばヘッジ取引がなくなってしまい、為替に対するエクスポージャーをもろに取ることになります。もし、今後、豪ドルが200円/豪ドルにでもなったら、また輸入価格高騰をもろに受けてしまうことになります。本来、ヘッジ取引であるならば、このような将来の価格変動性を避ける目的であるはずですから、あせって解約する必要はなかったと思います(デリバティブだけを見れば損失かもしれませんが、輸入する取引の方では利益が出ているはずです。だからこそのヘッジです)。

ただ、単に為替相場の方向性にかけた取引であったのであれば、解約という選択肢もあるでしょう。ただし、そのような取引であるならば、本来、本業を圧迫するような取引をするべきではなかったと思われます。


今回のサイゼリヤのデリバティブ取引は、取引の詳細が不明なのでなんとも言えませんが、そもそもどんな目的で、どんなビューを持って行ったのか、そのあたりがちょっと不明瞭な気がします。

こちらのブログ吉永康樹の CFOのための読みほぐしニュース サイゼリヤのデリバティブ評価損 140億円でも書かれていますが、はっきりさせて欲しいですね。

感覚的には、スワップで153億円の損失って、一体どれだけの想定元本だったんだ?って感じです。

デリバティブ関連の仕事をされている方であればおそらくほとんどの方がご存知であろう伊藤清先生が亡くなられたそうです。

ご冥福をお祈り致します。


「ウォール街で最も有名な日本人」伊藤清さん死去

2008年11月14日

 確率論の世界的権威で、その理論は金融工学にも応用された数学者、京都大名誉教授の伊藤清(いとう・きよし)さんが、10日午前9時26分、呼吸器不全のため京都市内の病院で死去した。93歳だった。葬儀は近親者のみで行われた。数学関係者有志により12月中にお別れ会が計画されている。

 三重県生まれ。東京帝国大理学部を卒業し、内閣統計局統計官、名古屋大助教授などを経て52年から京大教授。その後、学習院大教授などをつとめた。78年に朝日賞、恩賜賞・日本学士院賞、06年にガウス賞を受賞、今年の文化勲章を受章したばかりだった。

 専門は確率論。顕微鏡で見える水中の微粒子の動きのような不規則な運動は、微分積分という数学の枠組みでは取り扱えなかった。これを可能にする「確率微分方程式」の理論を42年に発表。「伊藤の公式」は数学、理論物理学に大きな影響を与えた。

 同様の不規則な動きは経済活動にもあることから、金融派生商品(デリバティブ)の価格決定など最新の金融工学に応用され「ウォール街で最も有名な日本人」といわれた。伊藤理論を金融工学に応用したロバート・マートンとマイロン・ショールズの両氏は97年のノーベル経済学賞を受賞した。

 06年、数学の応用で社会に大きなインパクトを与えた研究を顕彰するため国際数学連合(IMU)などが創設したガウス賞の第1回受賞者に選ばれ、業績があらためて世界的にクローズアップされた。しかしその前から体調がすぐれず、同年8月にスペインで開かれた表彰式には出席できなかった。

    ◇

 〈高橋陽一郎・京都大数理解析研究所教授の話〉 論文を印刷する紙も不足していた戦前、伊藤さんは偶然の現象を分析する数学を世界で初めてきちんとつくった。日本発の数学が欧米にも広がり、経済に応用されるまで発展したのはあまり例のないことだ。しかし、抽象的な数学が現実に応用されることには「測りきれない問題があるように思えてならない」と指摘していた。金融問題から発した経済危機を気にして「英知を集めないといけない」と言われていた。

http://www.asahi.com/kansai/okuyami/OSK200811140069.html


ということなので、伊藤先生および伊藤の補題に関するWikipediaのリンクを載せておきます。ご興味がある方はご覧ください。

英語版の方が詳しく書かれているようです。


Kiyoshi Itō

伊藤清

Itō calculus

Itō's lemma

伊藤の補題

パリバがアーバンと行っていたスワップ取引に関して、外部検討委員会の調査結果が発表されました。

以前、ちょこっとだけ触れましたが、世の中、やってよいことと、やってはいけないことがあるとすれば、これは後者に属すると思います。

専門家ではないので法的な解釈とかはわかりませんが、感覚的にはあり得ない、とぼくは思います。

投資家から見たら、300億調達したようにしか見えませんから。


以下、ロイターから記事を引用しておきます。


UPDATE4: BNPパリバ、アーバンの資金調達でインサイダー取引に該当の可能性=外部検討委

2008年 11月 12日 00:38 JST

 [東京 12日 ロイター] BNPパリバ証券東京支店が経営破たんしたアーバンコーポレイションの資金調達を引き受けた際の問題について調査していた外部検討委員会(委員長:松尾邦弘・元検事総長)は11日、調査結果を発表した。検討委は、パリバが同社しか知り得ないアーバンに関する重要な事実が存在し、それを開示しないよう働きかけたと推測されることを問題視したほか、スワップ取引はアーバンの株式の投資判断を行う上で「重要な情報」と判断。こうした重要な情報の存在を知りながらアーバン株をヘッジ取引していたパリバの行為は、金融商品取引法が禁じるインサイダー取引に該当する「可能性は否定できない」と指摘した。


 パリバの検討委は当初、11日午後の会見で配布した資料で「当該情報を知りながらヘッジ取引を行っていたBNPパリバ証券東京支店の行為は、インサイダー取引に該当する可能性が高いと考えている」と記していたが、同日深夜「インサイダー取引に該当する可能性は否定できないと考えている」に表現を訂正した。


 <スワップ取引によりアーバンの調達額が変動、投資判断で重要な情報>


 検討委は、スワップ取引の存在によって、アーバンが調達できる資金の額が変動するということにおいて、「アーバンの株式に関する投資判断を行う上で重要な情報であると判断する」と指摘した。

 具体的には、アーバンがパリバとの間で、資金調達と同時にスワップ取引を締結したことから、1)アーバンはCB発行で300億円を調達するものの、いったんパリバに交付され、その返還としてアーバンは資金調達できるにすぎない、2)その返還時期はアーバンの株価に影響されるため不確定なこと、3)その返還金額はアーバンの株価に連動するため、株価が下がった場合は全額が返還されない(アーバンは300億円を調達できない)可能性のあること──などの点が、アーバンの株式投資判断を行う上で、投資家にとって重要な事実だとしている。


 検討委は、最終的にインサイダーに当たるか否かは「該当性を判断する立場にない」と結論づけた。会見で松尾委員長は、パリバにはインサイダーの可能性があるとの判断を下したものの、検討委には検察のような調査権限がなく、社会的制裁を下す場合は、当局の判断に委ねる意向を示した。


 松尾委員長は「われわれは(パリバの行為が)形式的に(インサイダーに)該当すると判断している。しかし、売買は極めて機械的に行われており、インサイダーに当たっても、必ずしもその可能性が高いとは言えないのではないか」と述べた。また、違法性を認定するかなど「社会的制裁を課すかについては、事例の動向や取り締まりをする機関の動きを見る必要があり、(この外部検討)委員会が決めつける言い方をするのは避けたい」とし、最終的な判断は金融当局などに委ねた。


 <スワップの非開示、パリバが働きかけたと十分推測できる>


 アーバンは今回問題となったパリバを引受先とする資金調達に伴い、パリバとの間で締結したスワップ取引を開示しなかったが、これについて検討委は、スワップ契約を非開示にしたのは、パリバが非開示を働きかけたためと十分推測できる、と指摘した。こうした「不適切な開示を働きかけたBNPパリバ東京支店の行為はアーバンへの背信とも言うべく、一般投資家と市場を軽視した極めて不適切な行為で、この点に関する担当幹部や経営幹部の責任は免れない」と報告書に明記し、市場仲介機能を担う証券会社としての責任の重さを指摘した。


 また、パリバに対し、再発防止のための内部管理体制の強化などを提言した。松尾委員長は「パリバでは(取引承認委員会で)コンプライアンス部は出席していたが、重きを置かれていなかった」と、コンプライアンスが機能していなかったことを指摘。内部管理上、問題があったとした。


 パリバは9月、経営破たんしたアーバンの資金調達をめぐって問題が提起されていることを受け、第三者による外部検討委を発させ、資金調達に関する契約や付随する取引、事務執行の状況について調査した。

 委員会のメンバーは、松尾邦弘・元検事総長(松尾邦弘法律事務所弁護士)、小澤徹夫・弁護士(東京富士法律事務所)、中島茂・弁護士(中島経営法律事務所)、舩橋晴雄・元証券取引等監視委員会事務局長(シリウス・インスティテュート代表取締役)、長友英資・元東京証券取引所常務(ENアソシエイツ代表取締役)の5人。


 アーバンの資金調達をめぐっては、いくつかの問題が指摘されていた。

 アーバンは今年7月、パリバを引受先に300億円の新株予約権付社債(CB)を発行したが、同時にパリバとスワップ契約を締結。実際にアーバンが調達できた資金は300億円ではなかったことが破たん後に明らかになり、開示上問題があったとの指摘が上がった。

 また、パリバがこの間にアーバンの株式の売買を行っていたことも「極めて不透明な取引」との指摘が出ていた。

 金融庁は11月7日、アーバンの臨時報告書の虚偽記載で、課徴金150万円の納付命令を決定したと発表。アーバンは虚偽記載の事実を認めた。

 検討委の会見後、BNPパリバ東京支店の安田雄典・日本代表が会見し、経営陣や担当者の処分を「速やかに行う」と述べたが、具体的な内容に関する言及はなかった。会見では処分内容について再三質問が出たが、プライバシーの問題上、処分の対象となる人物や内容は開示しないとの姿勢を繰り返し示した。


記事中の企業の関連情報は、各コードをダブルクリックしてご覧ください。


(ロイターニュース 江本 恵美記者)

© Thomson Reuters 2008 All rights reserved.

http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK021149620081111

日本のCDSインデックス(株式でいうところの日経平均株価やTOPIXのようなもの)は、iTraxx Japan というものですが、このインデックスをトランシェにきりわけた取引が業者間などを中心に行われています。

日本の場合、0-3%, 3-6%, 6-9%, 9-12%, 12-22%(& 22-100%)といったトランシェに分けられているのですが、基本的にはそれぞれのトランシェごとにスプレッドでプレミアムがクオートされています。ただし、0-3%のトランシェだけは、アップフロントペイメント+スプレッドといった形になっており、スプレッドの部分は、+300bpsで固定されていました。

そして、この固定されていた+300bpsですが、北米のインデックスであるCDXや、欧州のインデックスであるiTraxx Europeでは、いずれも+500bpsでした。つまり、日本のインデックスだけが今まで+300bpsだったのです。

そして、今回これを+500bpsしようということになりました。

ちょっと標準化されてそろった感があります。


次は、トランシェの切り方の方をそろえることにはなりませんかね?

iTraxx JapanとiTraxx Europeでは、上述のように、

0-3%, 3-6%, 6-9%, 9-12%, 12-22%(& 22-100%)

となっているのですが、CDXでは、

0-3%, 3-7%, 7-10%, 10-15%, 15-30%(& 30-100%)

となっています。なんで、こう微妙にずれてるんですかね、、、、


そんなこと言ってたら、インデックスの構成銘柄数も違う(iTraxx EuropeとCDXは125銘柄ですが、iTraxx Japanは50銘柄)ので、こちらも合わせましょう、って話になっちゃいますかね。

でも、日本だけで125銘柄は難しそうだし、、、

まあ、無理にあわせる必要性もないと言えばないのかもしれませんが、なんでこう微妙に違うんですかね。いろいろと歴史的な経緯があるのかもしれませんが。

ちなみに、最近全体的に非常にワイドになってきたこともあって個別銘柄のCDSでアップフロントのクオートが見られていますが、これらは日本の銘柄でも+500bpsで通常はクオートされています。

まあ、OTCなのでやりたい形式でやっているだけなんだとは思うのですが、いろいろな意味で標準化を進める必要があるのかもしれません。Central Counterpartyを設立するのであれば、このような動きは進むかもしれませんね。

こちらのブログを読んでいたら、29日の日経新聞の経済教室およびクレデリの会計基準が取り上げられていました。

この経済教室の記事自体は、また突っ込みどころが多いような気もしますが、とりあえずおいておきます。

どちらかというと、上のブログで取り上げられていた「金融商品会計に関する実務指針」にあらわれるいくつかの言葉の意味がよくわからない、という話を書きたいと思います。

金融商品会計に関する実務指針 138項

「クレジット・デリバティブ及びウェザー・デリバティブのうちデリバティブの特徴を満たし市場価格に基づく価額又は合理的に算定された価額がある場合には当該価額をもって評価する。ただし、クレジット・デフォルト・オプションのうち市場価格に基づく価額がないものについては、債務保証に準じて処理する。」

ここで出てくる「クレジットデフォルトオプション」って、何を意味するのでしょうか。クレジットスワップション(クレジットデフォルトスワップのオプション)のことでしょうか。

WikipediaのCredit Default Optionを見てみると、

In finance, a default option, credit default swaption or credit default option is an option to buy protection (payer option) or sell protection (receiver option) as a credit default swap on a specific reference credit with a specific maturity.

http://en.wikipedia.org/wiki/Credit_default_option

とあるので、やはりクレジットデフォルトオプションは、クレジットデフォルトスワップそのものではなく、クレジットデフォルトスワップのオプション契約(クレジットスワップション)のことであるように見えます。

確かに、クレジットスワップションであれば、(少なくとも日本では)ほとんど流動性はないので、市場価格に基づく価額はないと思われます。

しかし、よくよく「金融商品会計に関する実務指針」を見てみると、次のような記述がありました。


金融商品会計に関する実務指針 226項(一部)

第三者(参照当事者)の倒産、信用格付けのダウングレードなどの信用事由が発生すると、現金の支払いまたは現物の受渡しが行われるものをクレジット・デフォルト・オプションという。


金融商品会計に関する実務指針を見る限りは、クレジット・デフォルト・オプションは、クレジットスワップションではなく、クレジットデフォルトスワップそのものを意味しているように見えます。

このあたり、実務経験の浅いぼくにはよくわからないところなのですが、歴史的にはいろいろ言葉の混乱もあったのでしょうか。

どなたかご存知の方いらっしゃいますか。

言葉の定義は認識が同じでないと、いろいろと混乱の元になるので注意が必要かと思います。


とりあえず、会社で誰かに聞いてみようかと思います。

(25日の日経新聞の記事を受けて、最後に一部追記しました)


金曜日(24日)の日本経済新聞およびそのネット版であるNIKKEI NETに次のような記事が掲載されていました。

日米欧、金融保証商品の清算機関設立 損失処理促す

 日米欧が来年にも相次ぎ、企業倒産などで将来資金が焦げ付いた場合に損失を肩代わりする金融商品の清算機関を設立する見通しになった。日本はアジア市場を視野に入れた機関の設置を検討するほか、米欧も官民で設立に向けた協議を始めた。世界的な信用不安の象徴である損失肩代わり商品の安全性と透明性を高める。企業倒産に伴う損失を早期に見積もり、金融機関の損失処理を加速させる効果を狙う。

 損失肩代わり商品は一般に「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる。企業が発行する社債などを持つ投資家が、第三者である金融機関などから損失肩代わり商品を買っていると、企業が倒産しても元本が戻ってくる。ここ数年、世界で取引規模が急速に膨らみ、6月末の取引残高(想定元本)は全世界で54兆ドル(約5400兆円)に達し、日本の残高は80兆円程度に上るとみられる。 (07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081024AT2C2301K23102008.html


これ、まじめにこんな書き方をしているのでしょうか?それとも、何か裏側に意図があってこんな書き方をしているのでしょうか?例えば、「クレジットデフォルトスワップに関する間違った理解を日本経済新聞の読者の方に植え付けさせて頂こう」、みたいな。

しかも、1面トップですよ。


3面にあるグラフのタイトルは、「損失肩代わり商品(CDS)の市場規模」とあります。損失肩代わり商品だったら、SKSなのでは?TMKみたいに書くのであれば。


7面に書いてある図のタイトルは、

「クレジットデフォルトスワップの取引の流れ」

ではなく、

「損失肩代わり金融商品の取引の流れ」

と書いてあります。

誤解を生むような表現を、大々的に使うのはやめて頂きたいと強く思いました。


このブログを読んで頂いている方は、変な誤解をされてはいないと思いますが、最近のメディアの書き方を見ていると、どうも納得がいきません。よろしければ今までのエントリに目を通して頂ければと思います。

クレジットデフォルトスワップ(CDS)とは?

OTC derivatives は Correlation derivatives

CDSの残高が減少したようです

クレジットデフォルトスワップ(CDS)の決済方法-リーマン・ブラザーズの例

クレジットデフォルトスワップ(CDS)における回収率とは?


ぼくもまだクレジットデリバティブの経験は浅いので、誤解しているところもあるかと思います。ということで、本格的に知りたい方は次の本がおすすめです。

クレジット・デリバティブのすべて 第2版
河合 祐子
4881777424


上で書いたことと矛盾するように思われるかもしれませんが、クレジットデフォルトスワップが損失肩代わり商品であることは間違いではないでしょう。ただ、損失肩代わり商品の一つであって、

「損失肩代わり商品は一般に「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる。」

わけではないと強く思います(「損失肩代わり商品」の前に、(ここで取り上げられている)という言葉が入ればまだましですが、入っていないと誤解を生む可能性が高いのではないでしょうか)。


そんな言い方をしたら、債券や株式だって損失肩代わり商品ということになるでしょう。特に、債券とクレジットデフォルトスワップ(CDS)には、相違はほとんどないでしょう(細かい点を除けば、Funded か、Unfunded の違いだけで、基本的なコンセプトは同じでしょう)。

例えば、債券の場合、国が発行する場合(国債)、投資家からお金を借りて、5年後とか、10年後の満期にお返しする、という金融商品です。その間、クーポンというものが支払われます。しかし、もしその国がクーポンを払えなかったり、その投資家から借りたお金(元本)を返済することができなかったら、デフォルトです。債券の投資家は、この国による返済リスクを抱える対価として、クーポンをもらうわけです(リスクの高い国は、金利が高くなる傾向にあります)。

つまり、国債の投資家は、ある国の損失を肩代わりしているわけです。

最近では、アルゼンチン、ウクライナ、ロシア、アイスランドなどなど様々な国のデフォルトリスクが強く意識されるようになってきています。つまり、こういった国の国債に投資している投資家は、その国の損失を肩代わりせざるを得ない状況に陥る可能性が高まってきているわけです。


つぎに、民間の事業会社が発行している事業債(社債)について考えてみます。日本企業で言えば、東京電力、NTT、トヨタ自動車、オリックス、ソフトバンクなどなど、様々な企業が、事業を行うために、資金調達を行っており、一部は社債を発行する形で行っています。

別の言い方をすると、一般に企業は金儲けをするために、お金が必要なわけですが、損失が発生すると嫌だから、その損失を肩代わりさせるために、債券を発行して投資家に押し付けようとしているわけです(ただし、損失を肩代わりする順序としては、株式の投資家が先に来ますので、債券の投資家は株式の投資家に比べると守られていることになります)。

さて、あえてここでは、日本経済新聞で使われている表現に近い形で、債券(国債や社債)の説明をしてみましたが、一般的にはこんな書き方をする人はいないでしょう。


もっと言えば、保険商品というのは、まさに損失肩代わり商品の典型ではないでしょうか。交通事故を起こして弁償しなければならない、家庭の稼ぎ手が急死してしまい今後の生活に困ってしまう、家事で家が燃えてしまったら大事な財産がなくなってしまう、などなど、そういった損失を保険会社が肩代わりしてくれるわけですが、そのためには保険料を支払うわけです。

ところが、まじめに保険料を支払っていたとしても、突如その保険会社が破綻してしまうと、その保険契約が突如消滅してしまったり、条件が改悪されてしまったりすることが起こります(これは、まさにCDS(より一般にはOTCデリバティブ)で言うところのカウンターパーティーリスクです!)。


CDSばかりを、損失肩代わり商品呼ばわりするのはやめて頂きたいと思います。


それから、最近は「金融工学」も悪者扱いされている気がします。確かに、金融工学の発達によって証券化の仕組みが生まれ、今回のサブプライムの一因になったことは否めないかと思います。

しかし、旅客機が墜落して数百人の命が失われた場合に、航空学が悪者扱いされるでしょうか?ライト兄弟さえいなければ、その目の前で失われた数百人の命は失われなかった。彼らさえいなければ、なんて発想になるでしょうか。

旅客機の場合、いろいろな原因があるかと思いますが、ある作業点検員が点検を怠ったことだったり(人的ミス)、航空機の構造上の欠陥(設計ミス)、想定を超える気候の変化(外部環境の変化)、などなどがあるかと思います。


今回のサブプライムも同じではないでしょうか。証券化の仕組みが出来上がり、リスクを分配する仕組みが出来上がった。それにより、金融機関の融資審査が甘くなり、不動産を購入できる人が増え、買える人が増えたから、不動産価格が上昇。一方で、投資家は、格付け会社の格付けに頼って証券化商品を購入、格付け会社も証券化商品に格付けを付与することで売り上げを拡大、利益を優先するあまり、格付け審査の質が低下してしまっていた。

さらに実体経済の方も、所有している不動産価格が上昇することで、担保価値が上昇、その担保枠を使って、実際に車を買ったり、別の家を買ったり、と消費にまわっていた(資産効果)。これによって、実体経済も潤っていた。

これは、簡単に書きすぎているかもしれませんが、アメリカを中心に、世界の経済がそんな感じでまわっていたのではないでしょうか。歴史的にもバブルは幾度となく繰り返されており、それらの原因は、ある特定の資産や仕組み、というよりは、やはり人間の利益に対するあくなき欲求なのではないかと思います。

だからこそ、そういった人間の欲求発のバブルをできるだけ防ぐために、仕組みが必要なのだと思います。人類はこういったバブルを経験しながら、少しずつ前に進んでいるのではないでしょうか。


ちょっと長くなってしまいました。

(以下、追記です)

25日の日経新聞に以下のような記事がありました(いずれも、10月25日付けの日本経済新聞より一部を引用させて頂いております)。

4面のISDAのCEOピッケル氏に対するインタビュー記事では、

--CDSが危機の元凶といわれている。

「それは誤解だ。大手破綻の主因は資金繰りであり、デリバティブは一部絡んだだけだ。CDSはもともとリスク移転の手段。投機に使われているかもしれないが、いろいろな参加者がいるから市場が成り立つ」

とあります。

誰が言い出したのか知りませんが、ぼくも「CDSが危機の元凶」だとは思っていません。


また、5面の東証社長の斉藤氏に対するインタビュー記事では、

--債務不履行に備えた保証金融商品、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)が金融危機を深刻化させたとの指摘もあります。

「CDSの最大の問題点は金融機関どうしが相対で取引しており、実態が見えにくいという点だ。それを解決するために今、米欧ではCDSの清算機関を設立して、市場の監督者がリスクを把握しやすくしようという動きがある」


--市場規制のあり方に関する意見は。

「CDSだけでなく金融派生商品(デリバティブ)全般に、取引の様子を見えやすくすべきだ。(後略)」

とあります。

価格が一般の方に見えにくいのは確かだと思います。ただ、業者間では、Markit社CMA(QuoteVision)が価格情報を集計して提供していますし、銘柄によって流動性の違いが起きるのは避けようがないと思います。

例えば、東証一部、東証二部、マザーズでは、流動性がまったく異なるでしょう。いくら上場していたとしても、毎日何度も価格がつく銘柄もあれば、1週間に何度か、といった銘柄まであるでしょう。

ただ、CDS市場と、株式市場の大きな違いは参加者層の厚みです。日本では、CDS市場への直接の参加者は、金融機関がせいぜい20社程度でしょう。一方株式市場は機関投資家から個人投資家まで幅広い参加者がいます。流動性や価格への信頼性が異なるのは間違いありません。

また、斉藤氏がおっしゃられているように、市場の透明性向上という意味では、CDSのみではなく、OTCデリバティブ全般に言えることなのではないかと思います。

ただ、個人的に思うのは、CDSと他のデリバティブでは一つ大きな違いがあると思います。それは、CDSがデジタル的なペイオフを持っている一方で、金利、エクイティなどのデリバティブはどちらかというとアナログ的なペイオフを持っているので、市場の変化によってじわじわと損益が発生するということです。

なので、時価評価(MtM)を行っていれば、金利やエクイティではそれほどサプライズは起きないと思いますが、CDSの場合はスプレッドが800bpsのところから突然デフォルトするようなこともあるので、突如損失が発生した、みたいに捉えられる傾向にあるのではないかと思います(もちろん、株価でもそれなりに高いところから突然デフォルトが起きて、取引不能になることはありますが、一般的には、なんとなく市場は織り込んでいくと思います。一方、CDSの方は参加者が少ないため、その織り込み方が十分ではない場合が多い気もします(他にも、クレジットイベントの定義が明確ではない、などいろいろ議論すべき点はあるかと思いますが))。


ちょこっと追記するつもりが、また長くなってしまいました。

最近、円が強すぎです。

今までユーロ、ポンド、豪ドル、ニュージーランドドルといった通貨に対して(他通貨に対してもだと思いますが、ぼくはあまり見ていないので)、円が強かったですが、最近は米ドルに対しても円高になっています。

すでに1米ドル97円台。ユーロなんか125円台。

ダウも下げてるし、オーバーナイトでさらに円高も進んでいるので、今日も日経は大きく下げるんですかね、、、

ということは、iTraxxもさらなるワイドニングでしょうか、、、

原油も66ドル台まで下落しているようで、直近の高値と比べるとずいぶん下がってきました。

この流れ、一体いつまで続くのでしょうか。

ブラックサーズデー当時並みに株価が下落するのだとすれば、まだ数年は株価の下落が続くことになるわけですが、、、はたしてどうなることやら。


ここからは個人的な話ですが、金融資産のやられっぷりはひどいです。ポンドなんて、現在158円台。昨年イギリスにいたときに、1ポンド250円くらいだった頃と比べると、イギリス生活が安くなっているんでしょうね。それでも、割高かもしれませんが。日本生活の方が割安だと思います、質を考えると。


一方、実物資産である不動産は、現在の最強通貨(?)であるところの円を毎月きちんと稼いでくれます。不動産市場全体では価格は下落しているわけですが、自分の持っている物件の賃料が契約を継続した状態で下がるリスクは極めて低いでしょうから、こういう時は不動産は強いなぁ、と思います。

退去が発生すればもちろん別ですが。


最後にまた通貨の話に戻りますが、韓国ウォンも安いですね。アジア通貨危機当時の水準まで下落しています。

アジアのソブリン(CDS)もワイドニングしているようです。

最近は、国際的な金融機関に資本が注入され、クレジットイベントなんだか、そうでないんだかよくわからないことになっていますが、ISDAのページによると、前回ちらっと説明した、プロトコル方式によって決済が行われることになっている参照組織は以下の通りです。

  • Kaupþing
  • Landsbanki
  • Glitnir
  • Washington Mutual
  • Lehman Brothers
  • Fannie Mae and Freddie Mac
  • Tembec


Conservatorshipやら、Receivershipやら、クレジットデリバティブの世界はホントによくわかりません。エクイティデリバティブだと、基本的に株価であらゆるペイオフが決まるので、比較的シンプルですね(最近は、Market Disruptionでバリアンススワップの計算に算入されない日もあるらしい、と聞いているので、エクデリの方もすこしやっかいみたいですが)。


さて、今回は、回収率について質問を頂いたので、簡単に書いておこうと思います。


その前に、以下が今までに書いたクレデリ関連のエントリ一覧です。一部専門的なところもありますが、目を通して頂くと、現在、世の中を騒がせ、かなり悪者扱いされている(?)、クレジットデフォルトスワップについて、その一端に触れることができるのではないかと思います。

クレジットデフォルトスワップ(CDS)とは?

OTC derivatives は Correlation derivatives

CDSの残高が減少したようです

クレジットデフォルトスワップ(CDS)の決済方法-リーマン・ブラザーズの例


さて、本日の本題、回収率です。CDSの中に専門用語として出てくる回収率の前に、会社が倒産し、清算した場合の債務(債券やローン)の弁済率(回収率)について簡単に説明します。

企業は、簡単に言うと、デット(他人資本)とエクイティ(自己資本)によって資金調達を行い(お金を集め)、そのお金を使ってビジネスを行って、利益を上げています。デットというのは、銀行からお金を借りたり、債券と呼ばれる有価証券を投資家に買ってもらって、資金調達を行っている部分です。一方、エクイティは、株式と呼ばれる有価証券を投資家に買ってもらって資金調達を行っています。

ビジネスがうまくいけばいいのですが、うまくいかなくなり、会社が倒産してしまうこともあるでしょう。そのような場合、会社が持っている資産(現預金、有価証券、商品などの在庫、不動産など)を現金化して、今までお金を融通してもらっていた人たちに返済します。その際、デットという形で資金提供していた人たちに優先的に返済され、それでも余ったら、エクイティの形で資金提供していた人たちに返済が行われます。

例えば、ある企業が倒産し、清算して資産が十分になかった場合(債務超過)に、100万円の債券を購入していた人には、30万円しか返済されないかもしれません。この場合、元本100万円に対して実際に返済された割合、つまり

30万円 / 100万円 = 30%

のことを弁済率(回収率)と呼んでいます。


さて、話がそれてしまったように思われるかもしれませんが、ここで話をCDSに移します。前回、CDSの契約とは次のようなものであると書きました。


2006年9月20日から2011年9月20日の間(5年間)に、リーマンブラザーズホールディングスが倒産したら、SさんはBさんに10億円(想定元本)×(1-回収率)を払うこととする。ただし、BさんはSさんに毎年保険料として、400万円の支払いをするものとする。また、倒産が起きた場合には、その後の保険料の支払いは発生しないものとする。


この時、Bさんの立場はどのような人が考えられるでしょうか。純粋ゼロの状態から、新規にトレーディング目的でリーマンのCDSを購入したい、という人もいると思いますが、一つ考えられるのは、すでにリーマンに10億円を融資している銀行や、リーマンが発行した債券を10億円保有している人(債権者)です。

10億円の債権を持っている人たち(CDSの買い手なので、Bさん、と呼んでおきます)は、もしリーマンが倒産してしまうと、その10億円の債権が回収不能になってしまうかもしれません。そこで、この10億円を守るために、年間400万円(この数字はあくまで例です)という保険料を払ってもいいと考えるかもしれません。

前回、CDSには、現物決済と現金決済があると書きましたが、ここでは現物決済を考えます。Bさんが現物決済のCDSを購入して、その後、クレジットイベントが発生した場合、どうなるでしょうか。

この場合、現物決済ですので、

Sさんは、Bさんに10億円を支払い、

Bさんは、Sさんに元本が10億円の債権(債券もしくはローン)を引き渡す

ということが行われます(Sさんは、CDSの売り手です)。

そして、クレジットイベントが発生しているのですから、この10億円の債権は清算されることになります(以前も書いたように、クレジットイベント=バンクラプシーというわけではないので、このあたりは微妙ですが、、、)。

すると、このエントリの最初に説明したように、10億円の元本は返済されることは稀で、100%よりかなり低い回収率相当分が返済されることになります。つまり、「10億円×回収率」というわけです。

あらためて、上の現物決済を数式っぽく書いてみると、

10億円の現金 - (クレジットイベントが発生した企業に対する)元本が10億円の債権

=10億円 - 10億円×回収率

=10億円×(1-回収率)

となり、最初に書いたCDS契約の説明の中に出てきた数式になりました。このような背景があって、数式の中に回収率という言葉が出てきます。


ここで少し話が変わりますが、一般的に、倒産することが明らかになった後、債券の市場価格は急落すると思われます。で、どのあたりに落ち着くかというと、市場が予想する回収率に落ち着くと思われます。つまり、市場参加者がその倒産した企業のバランスシートを分析して、この債券に対してどの程度現金が返ってくるかを予想しながら、市場価格の方が安いと思えば買うでしょうし、高いと思えば売るでしょう。そのような形で市場では取引が行われます。

一方で、実際にその企業の清算が完全に完了して、実際に回収率相当の現金が返済されるまでにはかなり時間がかかるのが一般的だと思われます。そこで、CDSの現物決済用には、オークションという形で回収率を(ある意味勝手に)決定し、すべてのCDS契約の決済を行ってしまっていることになります。

最近行われたオークションで決定された回収率は以下の通りです(Wikipediaより引用)。

2008-10-02 Tembec Inc                83

2008-10-06 Fannie Mae - Senior          91.51

2008-10-06 Fannie Mae - Subordinated     99.9

2008-10-06 Freddie Mac - Senior          94

2008-10-06 Freddie Mac - Subordinated     98

2008-10-10 Lehman Brothers            8.625

http://en.wikipedia.org/wiki/Credit_default_swap


これで、回収率の意味が少しでもお分かり頂ければよいのですが。


クレデリについての本を読むならこちらがおすすめです。

クレジット・デリバティブのすべて 第2版
河合 祐子
4881777424


CDSの回収率でした。

思ったより長くなってしまいました。

リーマン・ブラザーズを参照するCDSの回収率(Recovery Rate)が確定したようです。8.625(=100-91.375)と、直近のマーケット12~13よりは少し低めだったようですが、それほど大きなずれはなかったようです(数字のソースは以下で引用しているニュース記事です)。

CDSの仕組みについては、簡潔にクレジットデフォルトスワップ(CDS)とは?というエントリに書きましたが、質問を頂いたこともあり、取引残高および決済方法についても、もう少し触れておきたいと思います。


まずCDSの取引残高ですが、参照債務(参照組織の債券やローンなど)の実際の残高とは直接的には関係はありません。CDS契約は、その取引当事者が相対で取引をしているだけですので、理論的にはいくらでも残高が積みあがることになります。以下、具体例で考えてみたいと思います。

Aさん(Buyer)とBさん(Seller)の間で、リーマンブラザーズを参照する額面が10億円のCDS契約を結んだとしましょう。さらに、同日、Bさん(Buyer)とCさん(Seller)が同じ満期日を持つ10億円のCDS契約を結んだとします。

この場合、Bさんは売り手と買い手の両方の立場で同じ参照組織の同じ満期日を持つCDS契約を持っていることになるので、ネットの契約残高はゼロとなります(カウンターパーティーリスクはあるものの、マーケットリスクは取っていない状態です)。実質的にはAさんとCさんの間で10億円のCDS契約が残っている状態になるわけですが、統計的にはAさんとBさんの契約、BさんとCさんの契約がそれぞれ別契約としてカウントされるため、CDSの契約残高としては20億円となります。

つまり、CDSの契約残高は、売り買いのポジションをすべてネッティング(相殺)するとかなり小さくなると思われます。

次に、今回リーマンのCDSに関する入札が行われ、回収率が8.625になった、というニュースについてです。まずはニュースをご覧ください。

リーマンCDSの売り手、10日の入札結果で90%程度の損失被る可能性

2008年 10月 10日 11:18 JST

 [ニューヨーク 9日 ロイター] 破綻したリーマン・ブラザーズ(LEHMQ.PK: 株価, 企業情報, レポート)のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の売り手となっていた金融機関やヘッジファンドは、10日に入札結果が明らかになりCDS価値が判明すると、最大で90%の損失を被る可能性がある。

 一部アナリストは、入札でCDSの売り手が買い手を上回った場合が、一段の損失となる可能性もあると予想している。

 マーケットアクセスによると、リーマン債の多くは、額面1ドルあたり0.12―0.13ドル近辺で取引されており、CDSもこの水準までのリカバリーとなることを示している。


原文参照番号[nN09325896](3000Xtraをご利用の場合、配信後24時間以上経過した記事でも380日以内であれば[ID:nN09325896]ご覧になれます。なお、契約の内容によっては、原文がご覧いただけない場合もあります)

© Thomson Reuters 2008 All rights reserved.

http://jp.reuters.com/article/fundsNews/idJPnTK828580120081010


リーマン対象金融派生商品「清算価値は8・625%」

 【ニューヨーク=池松洋】経営破綻(はたん)した米証券大手リーマン・ブラザーズを対象にした、金融派生商品(デリバティブ)のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の清算価値が10日、元本の8・625%に決まった。

 金融派生商品を扱う事業者の業界団体「国際スワップ・デリバティブス協会」(ISDA)が発表したもので、破綻後に暴落したリーマンの社債の価値などに連動する形で決まったという。

 市場推計ではリーマン関連のCDSの契約残高(想定元本)は約4000億ドル(40兆円)。この9割以上が損失となり、リーマンの社債保有者などからCDSを引き受けた金融機関などがかぶることになる。ただ、契約時の手数料などで損失の一部はカバーされる可能性がある。

 CDSは、企業に融資をした金融機関や、企業が発行した社債を購入した投資家が、焦げ付いた場合の損失を肩代わりしてもらうために、他の金融機関などと行う金融取引だ。

(2008年10月12日01時32分 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20081012-OYT1T00082.htm


UPDATE 3-Lehman CDS sellers lose $365 bln after auction

Sat Oct 11, 2008 2:13am IST

(Updates price, rewrites throughout)

NEW YORK, Oct 10 (Reuters) - Banks, hedge funds and other sellers of protection on Lehman Brothers LEH.N (LEHMQ.PK: Quote, Profile, Research) are facing losses of 91.375 percent of the insurance they sold, after an auction was held on Friday to determine the value of the credit default swaps.

The settlement of Lehman's credit default swaps is one of the largest in the $55 trillion market to date, with around $400 billion in contract volumes estimated on Lehman's debt.

Based on those estimates, the amount of insurance paid out would equal $365.5 billion, CreditSights analyst Brian Yelvington said in a report. However, "net positions are likely to be much lower," he said.

The auction was widely watched as some investors had feared that large losses by protection sellers may be concentrated at one institution, such as a bank.

Derivatives practitioners, however, argue this is unlikely as protection sellers will have already written down the loss in the market value of the contracts, and so extra losses should be negligible.

The auction, "in and of itself, should not be the downfall of an entity since (Lehman's) bonds have been trading in the low teens for weeks and the difference in the auction and yesterday's price is only $4.375," Yelvington said.

Large counterparties, such as dealers, would also have a number of offsetting trades where they may have bought and sold protection, and much of this will be canceled out.

Bob Pickel, chief executive at the International Swaps and Derivatives Association, a trade group, said payouts after netting these exposures would likely be nearer 2 percent of the volumes outstanding. This means $8 billion in protection would need to be paid out.

LOWER RECOVERY

There were more sellers than buyers of the debt in the auction, which led the final recovery of 8.625 percent to below the 12-to-13-cent area some had expected based on the trading level of Lehman's bonds on Thursday.

This is likely due to more protection sellers choosing to settle the contracts in the auction, compared with protection buyers who settled by physically delivering the defaulted debt to the seller.

When a borrower defaults on their debt, sellers of protection pay buyers the full sum insured, and in return receive the defaulted debt or a cash payment, which is determined by the auction.

In spite of the imbalance "the auction went very smoothly, with the slightly lower-than-expected final price reflecting a bias towards sellers," said Simon Moore, credit strategist at credit Suisse in New York.

"You don't know who's going to cash settle or physically settle until the auction and even amongst the people who physically settle you don't know what the ratio will be," he added. (Reporting by Karen Brettell; Editing by Jonathan Oatis)


© Thomson Reuters 2008 All rights reserved

http://in.reuters.com/article/rbssFinancialServicesAndRealEstateNews/idINN1038718020081010?pageNumber=2&virtualBrandChannel=0&sp=true

上で説明したように、CDSの契約残高は、参照債務(Reference Obligation(s))(および引渡可能債務(Deliverable Obligation))の残高を大きく上回ることがあります。

ここでCDSの決済方法を簡単に説明します。CDSの決済方法(つまり、クレジットイベントが発生した場合の保険金の支払いのことです)には、大きく分けると

  1. 現物決済(Physical Settlement)
  2. 現金決済(Cash Settlement)

の2パターンに分けられます。さらに、現金決済は次の2パターンに分けられます。

  • 市場価格参照型
  • 定額型

この2パターンで多少の違いはあるものの、現金決済の場合は現金のやりとりだけで済むことになります。

一方、やっかいなのが現物決済の方です。現物決済というのは、現物つまり引渡可能債務(Deliverable Obligation)を受け渡す必要が発生します。ところが、プロテクション(CDS)の売り手は必ずしも引渡可能債務の保有者(または債権者)であるとは限りませんので、引き渡すためにその債務を市場から調達してくる必要があります。歴史的には、この調達需要により、引渡可能債務の市場価格が急騰したりすることもあったようです(例えば、Delphiの例)。

そこで、このような事態を避けるために、現在主流となりつつあるのがプロトコル方式と呼ばれるもので、既存のCDS契約で現物決済と定めていても、入札(Auction)によって最終価格(または回収率)を決定し、現金決済を行いましょう、というものです(ただし、現物決済希望者は現物決済が可能)。


そして、上で引用したニュースは、リーマンを参照するCDSに関して、まさにこの入札が行われて、最終価格(または回収率)が決まりました、といった内容を伝えるニュースなのです。

クレジットデフォルトスワップ(CDS)とは?で例に挙げたものを、参照組織をリーマンブラザーズホールディングスに変更し、かつ回収率を反映させたような契約内容にすると以下のようになります(契約期間も変更しています)。


2006年9月20日から2011年9月20日の間(5年間)に、リーマンブラザーズホールディングスが倒産したら、SさんはBさんに10億円(想定元本)×(1-回収率)を払うこととする。ただし、BさんはSさんに毎年保険料として、400万円の支払いをするものとする。また、倒産が起きた場合には、その後の保険料の支払いは発生しないものとする。


実際のCDS契約はまさにこのようなものです。上のニュースによると、回収率は8.625ですので、SさんはBさんに

10億円×(1-0.08625)=9.1375億円

つまり、9億1375万円の支払いをしてCDS契約が終了となるわけです。一方、この決済の時点まで、SさんはBさんから毎年400万円、この場合は契約から約2年経過していますから合計で800万円の保険料を受け取っていることになります。

Bさんから見ると、800万円の保険料を支払うことによって、約9億円の支払いを受けたことになります。これがCDS契約の実際です。


今回の内容は専門用語も少し含まれていて、わかりにくい内容となってしまったかもしれませんが、すべてをきちんと理解するのはかなり難しいと思いますので気にされる必要はありません。ぼくもまだわかっていませんし、、、


少しでも参考になればと思います。

前回も挙げましたが、以下の本がとても詳しく書かれています(一般の方向けというわけではありませんが)。

クレジット・デリバティブのすべて 第2版
河合 祐子
4881777424

長いですが、最後にもう一つ記事を引用しておきます。

There are often more CDS contracts than actual bonds to which they're linked. That means when a big default happens, an auction is held to work out the value at which traders can settle the contracts in cash.

CDSの残高は、参照債務(債券)の実際の残高よりも大きくなること、そして、

Roughly $400 billion will be paid out on Lehman CDS, but, once all positive and negative positions are "netted" out, about 2% of that money will actually change hands, Pickel estimated. Payments are due on Oct. 21 to settle Lehman CDS in cash, he said.

買いと売りを相殺した後では、実際の決済額はかなり小さくなること、が明確に書かれています。


Lehman derivatives auction described as 'smooth'
Value of Lehman bonds set at 8.625 cents on dollar; contracts to settle Oct. 21

SAN FRANCISCO (MarketWatch) -- An auction to work out the value of Lehman Brothers bonds for the huge credit derivatives market went smoothly Friday, according to the International Swaps and Derivatives Association, which helps oversee the market.

The auction set the value of the debt of the bankrupt brokerage firm at 8.625 cents on the dollar, said Markit and Creditex, the administrators of the auction.

Earlier action in the auction suggested Lehman (LEHMQ 0.10, 0.00, -2.0%) bonds might be worth almost 10 cents on the dollar. The final result means sellers of protection in the credit-default-swap market may have to pay out more than expected to settle the contracts.

Credit-default swaps are a common type of derivative contract that pay out in the event of default. The market has grown quickly, with the notional amount of contracts outstanding surging past $50 trillion in recent years.

The collapse of Lehman, the largest bankruptcy in U.S. history, along with the failures of Fannie Mae, Freddie Mac and Washington Mutual, have sparked concern that the CDS market could crack under the weight of so many contracts settling in such a short time.
There are often more CDS contracts than actual bonds to which they're linked. That means when a big default happens, an auction is held to work out the value at which traders can settle the contracts in cash.

Similar auctions earlier this week to set the price of Fannie and Freddie debt were "messy," undermining confidence in the process, according to CreditSights, an independent fixed-income research firm.

However, the Lehman auction Friday went "smoothly" and "efficiently," according to Robert Pickel, chief executive of the ISDA, which represents major dealers in the CDS market.

Traders and other CDS market participants marked the fair value of their exposures and posted more collateral as Lehman's troubles increased, Pickel explained. This discipline means that sellers of protection should not have trouble paying to settle the contracts related to Lehman, he added.

The result of the Lehman auction means sellers of CDS protection on the firm will need to pay 91.375 cents on the dollar to their counterparties.

Roughly $400 billion will be paid out on Lehman CDS, but, once all positive and negative positions are "netted" out, about 2% of that money will actually change hands, Pickel estimated. Payments are due on Oct. 21 to settle Lehman CDS in cash, he said.

In a Pickel

ISDA represents major dealers in over-the-counter derivatives markets. Because CDS aren't traded on an exchange and prices and positions aren't published, the market is lucrative for dealers.

But the credit crunch has increased calls for more regulation of CDS, something that may not be in the interests of ISDA members.

On Friday, the ISDA's Pickel said that despite "significant criticism," recently, the CDS market has continued to function and remain liquid, giving investors the chance to express their views, while other markets have tightened up.

But one problem with the CDS auction process, and the market in general, is that it's often unclear how many contracts are linked to the debt of specific companies because there's no central repository for such information, CreditSights explained in a note to clients earlier this week.

This lack of information sometimes means that auctions, like the ones for Fannie and Freddie this week, can produce surprising results, the firm added.

Such problems will add to calls for changes to the CDS market. CreditSights reckons a central clearinghouse for trades would reduce counterparty risk and provide transparency.

An official exchange for CDS trades would cut counterparty risk even more because it would take decisions on required margin levels away from the sell side brokerage firms that currently operate in the over-the-counter market, CreditSights said.

Indeed, the New York Federal Reserve met this week with CDS market participants to discuss possible changes.

There will probably always be over-the-counter trading in CDS, like there is in energy markets, CreditSights said.

"If there was ever a time for an exchange product to emerge, however, this is certainly the time," the firm added.

Alistair Barr is a reporter for MarketWatch in San Francisco.

http://www.marketwatch.com/news/story/lehman-derivatives-auction-described-smooth/story.aspx?guid=%7BA5ACF291-FC4D-478D-845D-8713E50448B3%7D&dist=msr_4

このブログでも、不動産デリバティブに関しては以下のようにけっこう取り上げてきましたが、またもや不動産デリバティブネタです。

不動産デリバティブ研究会報告書

最近のエクイティデリバティブと不動産デリバティブ

不動産ヘッジファンドと不動産デリバティブ

日本初の不動産デリバティブ取引が行われたようです

USで不動産デリバティブが始まるようです


9月29日付けで以下のようなプレスリリースが発表されました。

平成19年度不動産デリバティブの可能性とその普及・啓発に関する調査業務報告書の公表について


ということで、国土交通省により、平成19年度の不動産デリバティブに関する報告書が発表されました。以下、そのリンクです。

 不動産デリバティブ報告書(本編)【PDF形式】

 不動産デリバティブ報告書(概要版)【PDF形式】

ちょっと今週の平日はなかなか時間が取れそうにないので、今週末にでもゆっくり読みたいと思います。

日本で不動産デリバティブ市場は発達するのでしょうか。どうなんでしょう、、、

なんか今日はリンクだらけのエントリになってしまいました。

ワシントンミューチャルの破綻、ワコビアがシティに身売りし、イギリスのブラッドフォード・アンド・ビングレーが国有化、三菱UFJがモルスタに21%出資、ベネルクス3国がフォルティスに約1兆7000億円の資本注入、アイスランド第3の銀行がほぼ国有化(75%)などなど、ものすごいことになっています。

必ずしも、CDSのクレジットイベントばかりではありませんが、金融機関のイベント発生相関とでも呼ぶべきものは非常に高いことがわかります(デフォルト相関や、クレジットイベント相関とは書いていません)。

最近のVIX(CBOE SPX Volatility Index)の上がりっぷりがすごいです。

これは一体いつまで続くのでしょうか。

アメリカ発で、今週あたりヨーロッパに移り、来週から再来週あたりにはアジアまで波及してきたりして。となると、極東に位置する日本は最後ですね。

ほんとに歴史的瞬間を日々過ごしている気がします。

つい数日前に、以下のようなクレデリ関連のエントリを書きましたが、ISDAの最新の集計によるとCDSの残高が減少に転じたようです。

クレジットデフォルトスワップ(CDS)とは?
OTC derivatives は Correlation derivatives


日経からの引用は以下の通りです。

信用リスク取引CDS、残高が初の減少 6月末54兆ドル

 企業の倒産による損失を回避するための信用リスク取引であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の残高が急速に減少している。国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)によると、6月末時点の全世界の取引残高は54兆ドルで2007年末比12%減。01年の調査開始以来初めて減少した。世界的な金融危機の広がりを背景に、売り手となる証券会社などが取引を整理し始めたためだ。

 これまで取引規模を拡大させてきたのは貸し倒れの損失を避けたい金融機関や保証料を得たい証券会社や保険会社など。日本での取引残高も8000億ドルを超えている。(07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080926AT2C2501I25092008.html


ファイナンシャルタイムズの記事の方がもう少し詳しいので、こちらも引用しておきます。ちなみに、減少したのはクレデリのみで、金利やエクイティは増加しているようです。

CDS decline as sector bids to cut risk

By Paul J Davies

Published: September 25 2008 03:50 | Last updated: September 25 2008 03:50

Credit derivatives markets saw the first ever decline in the volume of outstanding contracts over the first half of the year as the industry pursued aggressively its efforts to tidy up the sector and cut risks.

The notional outstanding volume of credit derivatives was $54,600bn at the end of June, down 12 per cent from the $62,300bn at the end of 2007, according to the latest data from International Swaps and Derivatives Association, the global industry body.

The over-the-counter derivatives industry has been under immense pressure from regulators to clean up its act for the past couple of years. Efforts that began with modernising and speeding up the infrastructure of processing and confirming trades has now moved into pruning the huge volumes of older, outstanding trades.

“The derivatives business overall showed consistent growth over the first half of 2008, but what we are beginning to see in credit derivatives is a downturn in ... the total amount of trades outstanding,” said Robert Pickel, chief executive of ISDA.

“This decrease primarily reflects the industry’s efforts to reduce risk by tearing up economically offsetting transactions, and demonstrates the industry’s ongoing commitment to reduce risk and enhance operational efficiency. We expect to see more effects of this over time.”

Susan Hinko, head of industry relations at TriOptima, which organises cycles of trade compression and termination, said her company had overseen more than $17,400bn worth of credit derivative terminations in the first half of 2008 in the inter-dealer market. The vast majority of these were index contracts rather than single company exposures.

Ms Hinko added that progress had continued until the past couple of weeks.

“The biggest challenge for this process is employment of resources internally at banks,” she said. “We continue to run compression cycles, but back office staff can get redeployed very quickly. The numbers in July, August and September were really good until Lehman happened, since then there have been more pressing priorities at some institutions.”

The remainder of the OTC market saw growth in outstanding volumes continue, with interest rate swaps up 22 per cent at $464,700bn and equity derivatives up 19 per cent to $11,900bn. This puts total outstanding notional volumes at $531,200bn as of June 30 2008.

ISDA said that this figure described market activity rather than market risk. It estimated gross credit exposure before netting at the end of June was $12,700bn and credit exposure after netting was $2,700bn.

Copyright The Financial Times Limited 2008

http://www.ft.com/cms/s/0/49c374c6-8a71-11dd-a76a-0000779fd18c.html


ワシントンミューチャルが破綻し、ワコビアが身売り交渉中などと報道され、先が見えない状況になっていますが、今後どうなっていくのでしょう。

いろいろな意味で激動の時代です。

今日、明日と少し遅めの夏休みを頂いています。ということで、せっかくの平日休みだったので、株式会社ワークスアプリケーションズ第12回定時株主総会に出席してきました。普段はなかなか、株主総会のために有休を取るというわけにもいきません(議決権行使は、いつもは郵送です。しかも、イギリスにいた時は、手元に届いたときにはすでに時遅し、でしたし)。

株主総会に出席したのは人生で2度目です。1度目は確か3年位前にワタミの株主総会に行ってきました。その時は週末だったので、普通に参加できました。

今回は平日開催であること、また株主構成の違いを反映してか、実際に足を運ばれていた株主の方はざっくりで50名程度だったような気がします。ワタミの時は有明かなんかの会場を借りて一大イベントという感じでしたが、今日はワークスの会議室で行われていました。

総会自体は議案採決まで含めて26分ほどで終了し、その後、株主懇談会というか、もう少しざっくばらんに今後の事業計画や株主還元方針の説明、また株主からは様々な質問が出ていました。

で、ぼくもせっかくだったので、2つほど質問してみました。議長である代表取締役最高経営責任者の牧野さんがきちんと答えてくださいました。なかなか企業トップの方に直接質問できる機会はありませんので、貴重な経験だったと思います。

帰りに、ワークスのロゴが入った歯ブラシセットをもらいました。なんで、歯ブラシセットを作ったんでしょうね。

投資一族の長さんから、CDSはCorrelation Derivativesというトラックバックを頂きました。

「Credit業務従事者から猛反発を覚悟の上」とありましたが、猛反発どころか完全に同意します。それどころか、Correlation derivativesはCDSだけではありません。OTC derivativesすべてに言えることでしょう。クレジットのみならず、金利であっても、エクイティでも、FXでも、コモでティでも。


今回のAIGのデリバティブのポジションがどのようなものだったのか詳細は知りませんが、なんかCDS(すでに書いたようにクレジットデリバティブの一種です)だけが悪者にされているような気がしてなりません。

もちろん、今回のAIGの場合はクレデリのポジションが大半を占めていたのかもしれません。しかし、本質的にはOTC derivatives全般のカウンターパーティーリスク(Counterparty risk)に関する問題であって、クレデリだけの話だとは思えないのです。

一般的に、金融機関がデリバティブ取引を行った場合、カウンターパーティーに対するエクスポージャー(信用リスクの額であり、再構築コストを元に計算される)を計算します。具体的には、その計算時点におけるエクスポージャーであるカレントエクスポージャー(Current exposure)と、将来における市場の変動を考慮したポテンシャルエクスポージャー(Potential exposure、もしくはピークエクスポージャー、Peak exposure)なるものを計算して管理しています。

そして、日々これらのエクスポージャーを計測しながら、クレジットラインをモニタリングしているのが一般的でしょう。そして、必要に応じて、CSA(Credit Support Annex)と呼ばれる担保契約をカウンターパーティーと結ぶようにしています。


一般的に、エクスポージャー計算の元になっている原資産価格とカウンターパーティーのクレジットの相関が高い場合、カウンターパーティーリスクは非常に高いと言えるかと思います。

例えば、コモディティ系のデリバティブ契約をその産出国(このコモディティがその国のクレジットに影響を及ぼすほど、その国の経済基盤に密接な関係がある場合)と結ぶ場合、カウンターパーティーの影響は非常に大きなものとなることが予想されます。


さて、やっとクレジットデリバティブの話に戻しますが、例えば、トヨタ自動車のCDSをトヨタ自動車の子会社から買ったところで、そのCDSはほとんど意味がないのではないか、ということになるかと思います(親会社であるトヨタ自動車がデフォルトしているような場合、その子会社であるカウンターパーティーもデフォルトしているでしょうから)。

そして、投資一族の長さんが「米国債のCDSに、USD建は無く、EUR建しかありません。」とおっしゃっていましたが、日本銘柄でも、日本ソブリンと主要銀行銘柄(例えば、東京三菱UFJ銀行など)のCDSは基本的に米ドル建てで取引が行われています。

つまり、日本国や日本の主要銀行のクレジットが急速に悪化する局面では、通貨としての日本円も弱くなっていることが予想されるので、そのようなリスクを回避するために米ドル建てで取引が行われているのでしょう。しかも、もしそのカウンターパーティーが日系金融機関であったりしたら、、、となるかと思います。

以上、長々と述べてきましたが、最近ではOTC derivativesのプライシングにカウンターパーティーとの相関を織り込んだりすることも研究されており、金融機関のカウンターパーティーリスクに対する意識が非常に高くなってきていました。そのような矢先に、今回のリーマン破綻が起きているわけです。

進んでいる金融機関では、CDSを使ってOTC derivativesのカウンターパーティーリスクをダイナミックにマネージしているところもあるかと思います。しかしながら、それが実際にどれほど機能するかは、かなり難しい問題だと思われます。

CDSの場合、たまたま原資産がクレジットというだけであって、クレジットとクレジットの相関を考慮すべきCorrelation derivativesととらえることも至極真っ当な発想ではないかと思います。

今週は、本当に疲れました。2週間ほどロンドンに行ってきて、帰ってから3連休だったので、時差ボケを直しつつ少しゆっくりできたものの、3連休最終日の月曜日にリーマンが破綻。その後は、米国政府によるAIGの救済(ただし、現時点においてはCDSのクレジットイベントには該当しないと理解されている)、BOAによるメリルの買収、ロイズTSBによるHBOSの買収、MSまわりの合併観測、資本参加のウワサ、およびGSを含めた株価下落、CDSのワイドニング、などなどとやたらボラタイルなマーケットでした。

ということで、ほんとにいろいろありましたが、ここ最近は、新聞(例えば、以下の引用など)を読んでいても、いろいろなブログ(こことか、ここなど)なんかを読んでいても、けっこうCDSという言葉を目にするようになりました。

AIG救済要因の信用デリバティブ、国内取引残高3年で10倍超

 茂木敏充金融担当相は19日の参院財政金融委員会で、米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が公的に救済される要因となった、信用デリバティブの一種であるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)を巡り、日本国内の取引残高(想定元本ベース)が2007年6月末時点で8128億ドルと、3年前の10倍超に急増したことを明らかにした。

 企業の倒産リスクを「保険料率」の形で売買するCDSの残高は04年6月末で784億ドルだった。世界の取引残高はこの間、8兆4222億ドル(04年末)から62兆1732億ドル(07年末)に増加したとも説明した。(07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080920AT2C1901H19092008.html


4月に留学から帰国して以降、クレジットデリバティブ関連の仕事をするようになったので、まだ初心者(業務経験半年弱です!)ではありますが、自分の理解の確認のためにも、クレジットデフォルトスワップについて簡単に説明してみたいと思います(以前、バリアンススワップについて書きましたが、クレジットデフォルトスワップの方がより親しみやすいデリバティブなのではないかと思います)。

ということで、始めます。以下では、クレジットデフォルトスワップ(Credit Default Swap)を簡単に、CDSと書きます。


CDSを一言で説明すると、

契約時に特定したある参照組織(一般的には、企業)の倒産に対する保険契約

と言えるかと思います。

つまり、ある参照組織(例えば、トヨタ自動車)が倒産すると困る人がいる場合に、その倒産リスクを回避(ヘッジ)したい場合に、保険契約を結びたいと考えるかもしれません。その保険契約とは、例えば次のようなものです。

保険契約を買いたい人をB(Buyer)さん、保険契約を売りたい人をS(Seller)さんとします。

2008年9月20日から2013年9月20日の間(5年間)に、トヨタ自動車株式会社が倒産したら、SさんはBさんに1億円(想定元本)を払うこととする。ただし、BさんはSさんに毎年保険料として、30万円の支払いをするものとする。また、倒産が起きた場合には、その後の保険料の支払いは発生しないものとする。

これがCDS契約の中身です。それほど難しい話ではないと思いますが、いかがでしょうか。

2008年9月20日に契約が始まって、1年間トヨタ自動車が倒産しなければ、BさんはSさんに30万円支払います。

その後、2009年9月20日までの1年間で、トヨタ自動車が倒産しなければ、BさんはSさんにさらに30万円支払います。

ところが、2009年9月21日にトヨタ自動車が倒産したとしましょう(クレジットイベントの発生)。SさんはBさんに保険金額(想定元本)である1億円を支払って、このCDS契約は終了となります。

一方、もし契約満期である2013年9月20日までトヨタ自動車が倒産しなかったら、BさんはSさんに合計30万円×5=150万円だけ支払い、SさんはBさんに何の支払いをすることもなく契約終了となります。


上記の例では実際の取引慣行とは若干異なる形で簡単化して書きましたが、基本的な考え方を理解するだけであればこれで問題ないと思います。

実際の取引慣行と具体的に異なる点としては、いくつかありますが、例えば、上では倒産と書きましたが、通常は「倒産が起きた場合」のみではなく、「クレジットイベントが発生した場合」とより一般的な形で定義され、企業を参照組織とするCDS契約の場合、

  1. バンクラプシー(Bankruptcy、ISDA邦訳では破産)
  2. 支払不履行(Failure to Pay)
  3. リストラクチャリング(Restructuring)

の3つをクレジットイベントとみなす3CE(CE: Credit Event)での契約が一般的となっています(それぞれの詳細は割愛させて頂きます)。

また、上ではクレジットイベントが発生した場合に1億円支払われると書きましたが、実際にはあらかじめ定めた引渡可能債務をBさんはSさんに引き渡すことになっています(現物決済)。

さらに細かいことですが、保険料の支払いは年1回払いではなく、年4回払いです。


債券投資に詳しい方にとっては、企業の、国債に対する上乗せ金利分のみをスワップという形で取引するもの(とほぼ同等)、と言えばわかりやすいかもしれません。


ちなみに、このCDSですが、ISDA(the International Swaps and Derivatives Association, Inc.)の統計によると、急速に取引残高が増大しています。参考までに2003年と2007年の数字を比較すると、約3.78兆ドルから2007年には約62.2兆ドルまで増大しています(以下のISDAの数字では、trillionが抜けているように見えます。またこの数字は上の日経の記事にある数字と同じでしょう)。

2007 YEAR-END MARKET SURVEY

Notional amounts of interest rate derivatives outstanding grew almost 10 percent to $382.3 trillion in the second half of 2007. For the year as a whole, interest rate derivatives notionals rose 34 percent.

The notional amount outstanding of credit default swaps (CDS) grew 37 percent to $62.2 in the second half of 2007. CDS notional growth was 81 percent for all of 2007.

Notional amounts of equity derivatives remained flat at approximately $10 trillion during the second half of 2007. The annual growth rate for all of 2007 was 39 percent.

In this survey, 91 firms provided data on interest rate swaps, 81 provided responses on credit derivatives, and 83 provided responses on equity derivatives. All major dealers responded.


2003 YEAR-END MARKET SURVEY

The notional principal outstanding volume of interest rate derivatives, which include interest rate swaps and options and cross-currency interest rate swaps, grew by 15 per cent to $142.31 trillion during the second half of 2003. This is a slower rate of growth than in the first half of 2003, during which interest rate derivatives grew by 24 percent. For all 2003, the year-over-year growth rate from December 2002 to December 2003 was 43 percent. A record 120 firms responded to the Survey.

Credit derivatives, in contrast, grew at a stronger rate in the second half (41 percent) than in the preceding six months (25 percent); notional amounts now stand at $3.78 trillion (originally reported as $3.58 trillion). This represents a year-over-year growth of 76 percent. Credit derivatives, for the purposes of the Survey, consist of credit default swaps on individual names, baskets, and portfolios. 110 firms provided data on credit default swaps.

Finally, notional outstandings for equity derivatives, consisting of equity swaps, options, and forwards, grew 24 per cent, compared with 14 percent in the first half. Notionals now stand at $3.44 trillion. This represents year-over-year growth of 41 percent. 106 firms provided data on equity derivatives.

http://www.isda.org/


ちなみに、このCDS契約ですが、クレジットデリバティブの中では最もシンプルな契約です。デリバティブという名前ではありますが、感覚的にはエクイティデリバティブでいうところの現物に相当しており、クレジットデリバティブではこのCDSを基本として、FtD(First to Default)、シンセティックCDO(Collateralised Debt Obligation)などのより複雑な商品が組成されています。そういう意味ではやはり現物なんだと思います。


このブログにもたまにコメントをくださる投資一族の長さんによれば、ガンマ無き者はデリバティブに非ずとのことですが、そういう意味ではクレジットデリバティブもデリバティブとみなしてもよいかと思います。ただ、現物株式と比べてしまうと流動性が極端に低いので、楽しくガンマトレーディングをすることは現在の東京市場では不可能ではあるのですが。

それから、たまにCDOという言葉を聞いただけで、サブプライムと関連があると勘違いされている方がいるようですが、CDOというのは商品の仕組みの一般的な名称であって、その中身(原資産)が何であるかによってまったく別物になってきます。サブプライムABS(具体的にはRMBS)を参照するCDOはサブプライム問題のど真ん中ですが、日本企業を参照するCDOはまた別物です。


仮に、この記事を読まれて理解できなくても、まったく気にされる必要はありません。半年近く仕事をしていても、ぼくも未だによくわかっていませんから。もしくはぼくの説明が下手なだけでしょう。

なんか、思い切り仕事関連のネタを書いてみました。


(12月13日追記)よろしければ以下のエントリもご覧ください。

ブログ内関連エントリ一覧

  1. OTC derivatives は Correlation derivatives
  2. CDSの残高が減少したようです
  3. クレジットデフォルトスワップ(CDS)の決済方法-リーマン・ブラザーズの例
  4. クレジットデフォルトスワップ(CDS)における回収率とは?
  5. 「損失肩代わり商品は一般に「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」と呼ばれる。」んですか?
  6. クレジットデリバティブに関するQ&Aの掲載について


本格的に勉強されたい方は、以下の本がおすすめです。

クレジット・デリバティブのすべて 第2版
河合 祐子
4881777424

アメリカを中心に、毎日めまぐるしく状況が変わりつつありますが、金融市場は毎日大変なことになっています。

最近はロンドンのトレーダーも、毎晩遅くまでオフィスに残っているようです。

とりあえず、もう寝ます。

ブログ書いてる場合じゃないですかね、、、

Bloombergのニュースを見て知ったのですが、リーマンが今夜14日中(ニューヨーク時間)にも、連邦破産法申請するとNYタイムズが報じたようです。

一方、メリルリンチとバンクオブアメリカが合併交渉に入ったとも言われているようです。

最終的にどうなるかはわかりませんが、すごいことになってきましたね。


米リーマン・ブラザーズが14日夜に連邦破産法申請へ-NYタイムズ
米紙ニューヨーク・タイムズは14日、米証券大手リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが同日夜に米連邦破産法の適用を申請すると伝えた。事情に詳しい匿名の関係者の話を引用した。

米メリルリンチ、バンク・オブ・アメリカと合併交渉入り-関係者

BOAがメリルリンチ買収か,株式交換方式で382.5億ドル相当-NYT

http://www.bloomberg.co.jp/


アクセスが殺到しているのか、ブルームバーグが固まってしまいました。

現在、ロンドン時間だと日曜日の夜中だというのに、ロンドンのトレーダーもブルームバーグにログインしているようです。そりゃ、気になりますよね、、、

ジム・ロジャーズ(Jim Rogers)さんの講演動画です。

http://www.nomura.com/resources/europe/videos/frameset.html

以前と変わらず、中国語(マンダリン)を勉強するように、とおっしゃっています。ご興味ある方はご覧ください。

ジム・ロジャーズさんをご存知のない方もいらっしゃるかもしれませんので、All About の用語集にあった説明を引用しておきます。

ジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズとは、ジョージ・ソロスの右腕として20世紀に最も成功したヘッジファンド「クォンタムファンド」を運営した投資家。

世界中を自動車やバイクで回る冒険家としても有名。冒険しながら世界各国に投資チャンスを見出し、さまざまな新興国への投資を行って成功している。また、2000年以降は、原油などをはじめとした商品で資産を運用するファンドを立ち上げて、商品市況の高騰を上手く捉えて大成功している。

http://allabout.co.jp/glossary/g_money/w001532.htm


また、ウィキペディアのページはこちらです。

留学前からブルームバーグ端末は使っていましたが、留学後クレジットデリバティブという今までとは異なるプロダクトに関する業務をすることになったので、クレジットデリバティブ関係の機能は知りませんでした。ということで、本日、クレジットデリバティブに関するブルームバーグセミナーに参加してきました。

11:30~13:30の予定だったのですが、会場の丸ビルにはほぼ時間通りに到着しました。席に着くと、

「本日のスケジュールをお知らせします。11:30からとなっていますが、今からお昼を食べて頂いて、セミナー自体は11:40から開始する予定です。」

との説明がありました。お弁当がついていたのですが、要するにお弁当を10分間で食べろ、ということです。ぼくは比較的食べるのは速い方なので特に問題ありませんでしたが、10分だとあまりのんびり食べられる感じではありません。金融業界はみんな早食いなのでしょうか(今気づいたんのですが、”早食い”って意味的には”速食い”ですよね?でも漢字だと”早食い”って書きますよね?なぜなんでしょう)。


ところで、セミナーの内容ですが、クレジットに関しては初心者であることもあって、かなり勉強になりました。デリバティブまわりの機能はこの1ヶ月程度で多少学んでいましたが、クレジットの基本的なところやエクセルとのリンクなど、予想以上に学ぶことができました。

やはりこういうところは無駄に一人で試行錯誤するよりも、最初はセミナーに参加したり、知っている人にどんどん聞いて教えて頂いた方が圧倒的に速いですね。これもある意味時間の投資です。少し遠回りしているように見えても最初にきっちりやっておけば、長期的にはずっと効率的に身に付けることができると思います。

ということで、初めてのブルームバーグセミナーでした。お弁当付ですよ。また参加しようかな、、、

配属が決まり、クレジットデリバティブ関連のお仕事をすることになりました。留学前はエクイティデリバティブ関連だったので、個人的には新しい分野に挑戦することになります。

ということで、しばらくは本を読んだり、資料を読んだり、システムをいじってみたりしながら、少しずつ勉強していくことになりそうです。「ガンマって、デルタの微分でしょ」とか思っていると全く異なった意味だったりするので、用語を正確に理解することが重要だと思われます。


久しぶりに会社に行ってみて、以前と変わっているところもあるものの、それほどは変わっていないのかな、という印象でした。

ちなみに、ぼくは「まったく変わっていないな」と多くの方から言われました。なぜか、よく髪型について言われました。「髪型、まったく同じだな」と。そう簡単には変わりません。

Zopa(ゾーパ)が日本にやってくるようですね。

英ゾーパ、日本進出・個人の資金貸し借りネットで仲介

 インターネット上で個人がお金を貸し借りできるサービスを提供する英ZOPA(ゾーパ)が日本に進出する。日本法人を設立し、10月にも日本で事業を始める。会員登録した人がネット上で借り入れや、貸し出しの金額、金利、期間などの条件を提示し、それを仲介する。英国などで急拡大しており、日本でも商機があると判断した。7日に発表する。

 ゾーパは英で2005年3月に設立され、会員数は20万人強。07年末には米国とイタリアにも進出した。ネット取引のため店舗や人件費などの費用を抑えられるのが特徴。個人間の金融を仲介する業者として最も古く、現在は世界で20社程度が同じような事業を展開している。(11:02)

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080307AT2C0601R06032008.html

他にもこちら(↓)など。
ソーシャル金融サービスのZopa、日本進出へ

Zopaの基本的な仕組みについては、以下をご覧下さい。
P2P融資オークション(英国のZopa)


日本では貸金業法の改正を受けて、消費者金融業界の元気がなくなっていますが、ZopaのようなP2Pの仕組みは日本でどの程度受け入れられていくのでしょうか。リーズナブルな金利(おそらく日本であれば、3~5%程度でしょうか)で、比較的自由な使途のためにお金を借りられる仕組みが導入されるというのはよいことだと思います。

今後もとりあえず注目していきたいと思います。


話が変わりますが、以下のような記事を見つけました。

英ファイナンシャル・タイムズ,有料サービスをFacebookの学生会員に無料提供

これって、卒業間近の学生でも対象になるんですかね。本数制限なくファイナンシャルタイムズの記事が読めるようになるのであれば、かなりいい気がします。

昨日から大騒ぎになっていますが、フランスの銀行ソシエテ・ジェネラル(略して、ソジェン、もしくはソクジェン)が、31歳のトレーダーによる不正取引で7600億円以上の損失を出したとか。

7600億円って、やりすぎでしょう、、、

今日のファイナンシャルタイムズの一面トップはこの記事で、このトレーダーとソジェンのCEOの顔写真が掲載されていました(この記事によると、このトレーダー、Facebookのアカウントを持っていて、FT.comで報道される前は11人の友達が登録されていたらしいのですが、数時間後には4人に減っていたそうです。こういうところまで調べるんですね。SNSの存在感がそれだけ増大しているということでしょうか)。

The rogue trader who cost SocGen €5bn (Financial Times)

A lone rogue trader was on Thursday night being blamed for the biggest fraud in investment banking history after Société Générale, one of the pillars of French finance, revealed his actions had cost it €4.9bn (£3.6bn) and forced it into an emergency €5.5bn cash call on shareholders.

Jérôme Kerviel, a 31-year-old Paris-based trader working on the bank’s European equities derivatives desk, was already being portrayed by the governor of the Banque de France on Thursday as a “genius of fraud”.


Mr Kerviel appears to have built up his losses over a short period using accounts and passwords belonging to colleagues.

どのくらいの short period なのか不明ですが、あっという間の出来事だったのでしょうね。


次は、BBCからです。

Rogue trader scandal broadens out (BBC)

The trader responsible for the fraud had "in-depth knowledge of the control procedures resulting from this former employment in the middle-office", the bank said.

According to reports, Mr Kerviel worked at the bank's Delta One products team in Paris.

もとはミドルオフィスの人だったようです。

エクデリといっても、デルタワンのトレーダーのようですね。


他にもいくつか同じニュースを別のソースから。報道のされ方がそれなりに違いますね。

Rogue trader may have made €50 billion in deals (IHT)

SocGen rogue trader 'ready to talk to police' (TIMES)

仏ソシエテ、個人不正で7600億円損失・最大規模の不祥事 (日経)

再送:仏ソジェン、トレーダーの不正行為で49億ユーロの損失 (ロイター)

仏銀、職員の不正で7600億円の巨額損失 (イザ!)


7600億円って、やりすぎです、やりすぎ。

最近でも大手金融機関によるサブプライム関連の評価損が相次いで発表されていますが、一体何でこんなに次々と損失が悪化していくのか疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか。そこで、金融商品評価の難しさを具体的な事例を使って説明してみたいと思います。

例えば、次の週刊ダイヤモンドの記事をご覧下さい。

サブプライム問題泥沼化、追加損の懸念

サブプライム問題泥沼化、追加損の懸念

メリルリンチ、シティグループと、サブプライム関連商品で、巨額損失の発表が相次いだ。背景には、市場価格や客観データで評価できない資産評価の問題がある。関連商品を多く保有、損失計上の少ない金融機関に新たな損失懸念。

日本時間11月5日8時半過ぎ、驚愕のニュースが舞い込んだ。

 シティグループが、9月末以降格下げにより保有するサブプライムローン関連商品とCDO(債務担保証券)に80億~110億ドルの損失が発生したと発表した。日本円で1兆円規模の損失だ。

(中略)

サブプライム絡みの金融商品について、なぜ損失額がこれほど短期間に拡大するのか。その要因は、よく指摘される「格下げによる評価減」だけではない。「理論値の計算方法」も大きな要因だ。

 サブプライム絡みの金融商品のような不動産担保融資証券化商品は、時価評価に当たり一定の前提を置いた推計値を使って理論値を算出する。その前提の置き方次第で、価格は大きく変わる。事実、メリルは損失額が当初見込みから拡大した理由について「従来よりも保守的な仮定に基づいて検討した」と説明している。

(後略)


ここで、ポイントとなるのは最後の部分です。

「一定の前提を置いた推計値を使って理論値を算出する。その前提の置き方次第で、価格は大きく変わる。」


この前提というのはどんなもので、一体どの程度変わりうるものなのか、という点をCDOの例ではないのですが、デリバティブ(オプション)の例を用いて説明したいと思います(CDOのモデルは難しすぎます、、、)。具体的には、ヨーロピアンコールオプションと呼ばれる商品で説明してみたいと思います。原資産は個人的に最も親しみのある株式(エクイティ)を取り上げます。

(以下では、株式オプションの例で書きますが、株式オプション自体がどのようなものなのかハッキリと理解できなくても、話の本質的なところには影響がありませんので、まあそういう商品があるのだなぁ、くらいでも十分だと思います。)

ヨーロピアンコールオプションとは、予め定められた将来の時点において、ある株式を、予め定められた価格で購入する権利です。例えば、現在グーグルの株価が1株650ドル(現在の株価)であった場合に、グーグルの株式を1ヶ月後(満期)に、1株700ドル(行使価格)で購入する権利です。この権利を持っている場合、1ヵ月後にグーグルの株価が800ドルになっていたら、時価が800ドルのものを700ドル支払って購入することができるので、100ドルの利益が出ます(プレミアムはとりあえず無視します)。一方、1ヵ月後に600ドルに下がっていたら、誰も600ドルの価格で購入できるものに、700ドル払って買う人はいないでしょう。つまり、このオプションを行使する必要はなく、放棄することができます。

では、この権利を購入するとしたら、いくらくらい払ってもよいでしょうか?つまり、オプションの価格(プレミアムと呼ばれています)はいくらが妥当なのでしょうか。

このオプション価格を計算するための最も標準的な評価モデルが(一般化された)ブラックショールズモデルと呼ばれるもので、現在の株価(上の例では、650ドル)、行使価格(いくら支払って買うか。上の例では700ドル)、金利、配当利回り、満期(将来のどの時点で行使できるか)、ボラティリティの6つのパラメータを入力することによって、計算することが可能です。

例えば、パラメータとしては

現在の株価:100ドル
行使価格:100ドル
金利:5%
配当利回り:0%
満期:1ヶ月(=0.083年)
ボラティリティ:23%

を仮定し、ブラックショールズモデルを使って計算すると、ヨーロピアンコールオプションの価値は2.856ドルと計算することが可能です。

ここで、「なんだ簡単じゃないか」と思ってはいけません。問題は、この入力するパラメータが簡単に変わりうるということです(実際には他にもいろいろとありますが、、、)。このことを以下の例で見てみたいと思います。

以下では、グーグルとトヨタ自動車(ADR)の株価のデータを使って説明します(当初、日本企業の例で説明しようと思ったのですが、ヤフーファイナンスで簡単にデータをダウンロードできそうになかったので、Google Financeを使いました。なので、米国企業もしくは日本企業のADRという形になってしまっていますが、本質的なところは何も変わりません。Google Financeは便利ですね。早いとこ日本対応してくれないものでしょうか、、、)。


まず、両社の株価の推移を見てみます。過去1年間の株価の動きは以下のようでした。


google.jpg

グーグルの過去1年間にわたる株価推移です(全ての画像はクリックで拡大します)。


toyota.jpg

トヨタ自動車の過去1年間にわたる株価推移です。


この株価データから、いろいろ計算してみるわけですが、1日のリターンと、ボラティリティ、そして両社の相関係数を計算してみると以下のようになります。ここでは1ヶ月オプションをなんとなく想定しているため、ボラティリティ、相関係数は20日分のデータを使って計算し、その推移を見ています。(そもそも、ボラティリティって何ですか?という方は、バリアンススワップとは? というエントリを以前書いて、そこで説明しましたので、よろしければそちらをご覧下さい)


comp.jpg

株価データから計算したものです(画像はクリックで拡大します)。年率換算はいずれも1年を250日として計算しました。


それぞれの最大値、最小値、平均(ここでは単純にそれぞれの計算結果の平均値を計算しました)を計算してみるとかなりぶれがあることがわかります。例えば、グーグルのリターンは、1日最大で4.4%上昇した日があった一方で、最大5.5%も下落した日がありました。しかし、平均を取ってみると、+0.2%ということで、過去一年間では上昇し続けてきたことになります。一方、トヨタ自動車のリターンの最大、最小の絶対値はグーグルのそれらよりも小さく、平均的には-0.1%ということで、下落し続けてきたことになります。


次にボラティリティですが、まず平均値で見ると、グーグルの方が高く、最大値と最小値の差で見てもグーグルの方が大きいため、ボラティリティ自体もグーグルの方がぶれやすそうです。このことをグラフで見てみると、次のようになります。


volatility-g-t.jpg

グーグルおよびトヨタ自動車の20日ボラティリティの推移です。


トヨタ自動車のボラティリティの方が、全体的に低めで安定的に推移しているように見えます。


以上から、オプション価格の計算にあたって入力するボラティリティが非常に変化しやすい性質のものであることがわかるかと思います。

例えば、グーグルのボラティリティでは、2007年11月7日時点において計算すると25.3%となりますが、その約1週間後である、2007年11月13日時点において計算すると42.6%となっています。これらのボラティリティを上で計算したオプションの例にあてはめてみると、

ボラティリティが25.3%の時のヨーロピアンコールオプションのプレミアムは3.120

ボラティリティが42.6%の時のヨーロピアンコールオプションのプレミアムは5.103

となります。

つまり、11月7日に、1ヶ月満期のヨーロピアンコールオプションを買おうとしたら、3.120ドルになるわけですが、その1週間後に買おうとしたら、同じ1ヶ月満期のヨーロピアンコールオプションは5.103ドルも支払わないと購入できないわけです。

これがどれくらいの変化かと言うと、かなりの変化です(説明になってないですね)。11月7日時点においてプレミアムで100万円分を買おうとしたにもかかわらず、躊躇してしまって1週間ほど先延ばししてしまったと仮定しましょう。すると、1週間後に買おうとしたら、先週100万円だったものが、現在では約164万円に跳ね上がってしまっているのです。

1週間で何が変わったかというと、評価前提であるところのボラティリティの数字が変わったのみです。これだけで、こんなにも評価がぶれてしまうのです。


さらに極端な例として見てみると、グーグルの最大ボラティリティ(45.2%)と最小ボラティリティ(12.1%)をあてはめてみると、オプション価格はそれぞれ5.401と、1.608となります。3倍以上の開きがあります。つまり、ある日100万円だと思っていたものが300万円以上になってしまったり、はたまた30万円以下になってしまったりしているわけです。

(注:実際に市場で取引されているオプションは、過去に実現したヒストリカルボラティリティではなく、市場の将来に対する予測であるボラティリティ(インプライドボラティリティ)をベースに価格付けがされています。)


ここではデリバティブ(オプション)を例に取り上げましたが、金融商品を評価する際の前提が異なることによって、評価が変わりやすいことがなんとなくイメージして頂けたらそれで十分です。サブプライムで問題になっている金融商品の評価には、上の例と違ったパラメータ(例えば、デフォルト確率、デフォルト時回収率、相関係数など)が含まれていると思いますが、やっていることは同じようなことだと思われます。「様々なパラメータを推定し、それをあるモデルに入力して、評価額を計算する」ということです。

例えば、CDOなどのような商品では相関係数をパラメータとして使っていると思いますが、グーグルとトヨタ自動車の相関係数を計算してみたところ、以下のようになっています。


correl.jpg

グーグルとトヨタ自動車の相関係数(20日)の推移です。


上で示したテーブルにもこの相関係数(Correlation)は入れておきましたが、平均的には0.44程度。しかし、高くなると2倍くらい、低いときはほぼゼロでネガティブにさえなってしまっています。

サブプライムの場合、ローンの借り手が分散されていて個別の事情によってデフォルトが発生しうるのであれば相関係数は低めで良いかもしれませんが、不動産市場の下落という借り手全員に共通するような要因でデフォルトが発生するような場合、デフォルトが同時に発生する確率が極めて高くなり、相関係数を高く設定する必要があるかと思います。もちろん、評価するためには様々なパラメータが必要であり、相関係数だけではないのですが、このようにパラメータの違いによって評価額は非常に大きく変動しうるので、現在のように大手金融機関の評価損が急激に膨れ上がってきているのだと思います。

金融商品の評価って難しくないですか。

補足:

以下、同じく週刊ダイヤモンドの記事からの引用です。

米国の金融機関は、決算発表の約1ヵ月後にSEC(米証券取引委員会)に提出する四半期報告書で、保有金融資産を市場価格が存在するレベル1、市場価格などから採録できる客観的データで理論価格を算出するレベル2、問題のレベル3に分類して報告する。

ということで、上場株式のように市場で毎日のように取引されていれば、評価額は市場価格をベースに決定できます。しかし、、サブプライム関連商品のように、市場性が低く、ほとんど取引されることがない商品の場合には、パラメータを推定して、何らかのモデルに入力して評価せざるを得ないわけです。上で言っていた「金融商品」というのは、これに分類される商品のことを指しています。

長いタイトルになってしまいました。エクイティデリバティブは「エクデリ」と略されることが多いと思います(株デリバって言う人もいるかもしれません)が、不動産デリバティブは何て略すんでしょうか?不デリ?不動産デリバ?それとも英語にして、プロデリ(Property Derivatives)?

それはさておき、久しぶりにエクデリがタイトルに含まれているニュースがファイナンシャルタイムズに載っていたので、ちょっと触れておきます。

次の記事は、洗練された投資家達はエクイティデリバティブを活用して、相場の方向性にベットするのではなく、相対パフォーマンスにベットしている、というお話です。直近ではラージキャップが、スモールもしくはミディアムキャップをアウトパフォームしていたそうで、エクデリを活用して収益を上げていたようです。

具体的にはどんなオプションを活用していたんでしょうね?スプレッドオプションとか、エクスチェンジオプションあたりを使っていたのでしょうか。まあ相対パフォーマンスにベットする形のデリバティブであれば何でもよいとは思うのですが。

Equity derivative trades on rise

By David Oakley

Published: December 11 2007 02:00 | Last updated: December 11 2007 02:00

Investors are increasingly using sophisticated equity derivative trades to bet on the stronger performance of large multinationals against their smaller rivals in the wake of the credit squeeze.

Large companies have outperformed small- and medium-sized companies on the equity markets since August as they are seen as a safer investment in times of uncertainty because of their stronger cash flows, solid growth and brand recognition.

For example, in the UK the FTSE 100 has outperformed its midcap sister the FTSE 250 by about 10 per cent since the start of August. The FTSE 100 has traded up by 3.1 per cent since then compared with the FTSE 250, which has fallen by 6.3 per cent.

By using equity derivatives options, investors can take a view on where an index will be in, say, six months' time, potentially allowing them to profit in the event of bigger-cap indices outperforming the smal-ler exchanges.

David Moroney, head of equity derivatives structured assets at Barclays Capital, said: "Investors are realising they can make money from betting on the comparison of performance between different markets, rather than taking a directional trade.

"This sophistication of investors has helped the equity derivatives market grow dramatically. We are seeing many investors using these relative value trades in the US and Europe," he added.

"Asian investors are also using them as their economies grow and they become more sophisticated."

Mr Moroney said bigger companies started to outperform around March and April as investors became increasingly nervous about the problems in the US housing market. This trend increased in July and Aug-ust as the crisis deepened.

Shaun Wainstein, head of equities and derivatives for BNP Paribas in London, added: "We have developed equity derivatives products based on the idea that large companies will outperform smaller companies.

"In fact, we created a very successful product for Italian retail investors that gave the retail clients a simple way to invest in this strategy. Logically, the credit crisis does help this trade. On average, larger companies will outperform smaller ones in times of uncertainty."

Nino Kjellman, head of equity derivatives trading at Deutsche Bank, agreed that this had been a popular trade in recent months.

According to Barclays Capital, globally big companies listed on the main exchanges have outperformed small- and medium-sized companies on the junior exchanges by 6.5 per cent this year.

Copyright The Financial Times Limited 2007

もとの記事はこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/0/7d8fbc2c-a789-11dc-a25a-0000779fd2ac.html

次は不動産デリバティブです。こちらは(現物)不動産市場の下落を織り込んで、フォワード価格が下落しているそうです。特にUKの商業用不動産インデックスでの下落が顕著だとか。今年に入って日本では、首都圏の商業用不動産を中心にバブルになっているという話もちらほらありましたが、不動産価格の変動は商業用不動産から始まり、徐々に住宅用などに波及していくものなのでしょうか。

昨年から今年にかけて取引量が大幅に拡大していた不動産デリバティブ市場ですが、売り手ばかりで、需給が合わず流動性の低下懸念があるようです。相対取引中心だと、流動性が低下するときは取引所取引と比べると一気に低下してしまうと思うので、市場が収縮しなければよいと思うのですが、今後どうなるのでしょうか。

Property derivatives prices tumble

By David Oakley and Jim Pickard

Published: December 7 2007 02:54 | Last updated: December 7 2007 02:54

Property derivatives prices have fallen sharply in the past few months as confidence in the underlying market wanes.

The most dramatic turnround has been in UK commercial property derivatives, in which one-year forward prices have fallen to all-time lows. US commercial property derivatives have also fallen sharply as the underlying market weakens.

Rob Atkin, head of property derivatives at Tullett Prebon in London, said: “We are now at very low levels. The same can also be said in the residential property derivatives market.”

Phil Barker, senior vice-president of property derivatives at CBRE-GFI in New York, said: “Property derivatives swap prices have fallen in the US, but volumes trading are still healthy.”

Property derivatives - mainly swaps between total property returns and interest rates based on Libor - have seen a big jump in volumes this year.

In the UK, one-year forward prices are predicting an 8 per cent fall in total commercial property returns over the next 12 months, compared with predictions in March that the market would rise 6 per cent in the following year.

In the US, one-year forward prices are predicting a rise of 3 per cent in total commercial property returns compared with a rise of 9 per cent in July.

Property derivatives prices have also weakened in other markets, such as Germany, France and Hong Kong, which have seen their first trades this year.

Liquidity is fairly healthy in the UK, the world’s biggest market, according to brokers, helped to an extent by falling prices as participants can be found to bet on both sides of the trade.

With some property experts predicting the UK commercial market might fall as much as 15 per cent before stability is reached again, liquidity could suffer because participants want only to sell.

In the US, the market is in better shape, although liquidity could suffer if the underlying commercial property market, which has slowed from the peaks of last year, weakens further.

The growth of residential property derivatives has helped US volumes, in spite of the instability of the underlying housing market.

Mr Barker said: “We are predicting that the total notional value of the US commercial and residential derivatives market will exceed $1bn by the end of the 2007 compared with $50m at the start of the year.”

The UK residential property derivatives market, which is much smaller than the commercial sector, has also seen healthy volumes this year. It is predicting big falls in average house prices from £194,000 today to £184,000 this time next year - a 7 per cent fall.

The UK, which has more than £10bn of outstanding contracts in commercial property derivatives and about £4bn in residential property derivatives, is the biggest market in the world because of the quality of the statistics used for trading.

Copyright The Financial Times Limited 2007

http://www.ft.com/cms/s/0/4a14bdd2-a42f-11dc-a28d-0000779fd2ac.html


ひとりごとでした。

最近、やたらイスラム金融に関するニュースが駆けめぐっていますが、イスラム金融にもデリバティブがあることがわかりました。

日経ビジネスの「イスラム経済思想は日本を救う」には、以下のようにあったので、デリバティブはないのだろう、と思っていました。

その一方で、先物やデリバティブは禁止されている。「ラクダ売買の時に胎内にいる子供も見込んで売買してはいけない」と表現される先物の禁止規定があるためだ。実態の無いデリバティブも同様である。

もとの記事はこちらから。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20071011/137313/


ところが、International Herald Tribune の以下の記事にはデリバティブに関する記載があるではないですか。長いので一部引用。

Islamic banking rises on oil wealth, drawing non-Muslims By Wayne Arnold    Published: November 22, 2007

KUALA LUMPUR: Rising oil wealth is lifting Islamic banking - which adheres to the laws of the Koran and its prohibition against charging interest - into the financial mainstream.

Big banks, including Citigroup, HSBC and Deutsche Bank, as well as financial capitals like London, Tokyo and Hong Kong, are all going into the Islamic banking business. An estimated 300 Islamic financial institutions hold at least $500 billion in assets, an amount that is increasing more than 10 percent a year.

In addition to Islamic loans, there are Islamic bonds, Islamic credit cards and even Islamic derivatives. Loans and bonds that conform to the Koran are already available in the United States. And Britain, Japan and Thailand are contemplating issuing Islamic bonds of their own.

(中略)

そして、デリバティブに関する部分はこちら。

Because Islamic financial transactions must have an underlying asset, Islamic bankers tend to have high exposure to real estate and construction projects.

Hedging that exposure is difficult; though Islamic derivatives exist, scholars differ on whether they are permissible under the Koran.

(後略)

もとの記事はこちらから。
http://www.iht.com/articles/2007/11/22/business/islamic.php?WT.mc_id=rssfrontpage


基本的な発想として、実体の伴わない取引は禁止されているようですが、学者の間で見解が異なるらしく、認めている人もいるようです。


そこで、「イスラム金融、デリバティブ」で検索してみたところ、財務省委嘱研究会が作成したイスラム金融に関する報告書を発見しました(これはけっこう詳しくまとまっているので、わざわざイスラム金融に関する本を注文する必要がなかったかも、、、)。それによると、以下のような記載があります。

各地でイスラム金融のデリバティブ取引が散見されるようになってはいるが、全面的に是認された訳ではない。オンバランスの金融取引同様、シャリア学者間の解釈も分かれているほか、今のところマレーシアやドバイといった、シャリア解釈に比較的柔軟な地域で盛り上がっている感がある。

(中略)

こうした中で、イスラム式デリバティブ取引の着実な発展を図るべく、一般のデリバティブ取引の業界団体であるISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)とIIFM(国際イスラム金融市場。バーレーンに拠点を置く国際機関)は、イスラム・デリバティブのドキュメンテーション(約定関係の書類形式)の共同開発につき、覚書を締結した。こうした試みにより、イスラム・デリバティブの相対取引が容易になると考えられる。

財務省のページ(https://www.mof.go.jp/index.htm)から、
トップ > 外国為替・国際通貨制度、国際協力 > 委嘱調査・研究会 > 委嘱研究会(2006年度) > イスラム金融研究会
とたどって行くと、「イスラム金融研究会」というページにたどり着きます。


ISDAがひな型を作り始めているということは、何だかんだいって徐々に普及していくのかもしれませんね。気づけばイスラム金融のデリバティブ市場が急成長、なんてことになるかもしれません。実際、クロス・カレンシー・スワップ取引などの取引実績もちらほらあるようですし。

今後、どうなっていくんでしょう。

イスラム金融については以前ちょこっと触れましたが、ファイナンシャルタイムズにイスラム金融に関する記事がありましたので紹介します。記事の全体については引用した部分を見ていただくとして、ぼくが気になったのは以下のポイントです。


The growth of Islamic finance, he maintained, was driven by the interest in more ethical investing. “In an age of greed, well publicised corporate corruption and increased awareness of the social role and responsibility of corporations, investing in Islamic finance is a refreshing alternative,” he said.


最近は、CSRとか、ソーシャルアントレプレナーという言葉をよく目にするようになりましたが、人々が企業の社会的役割、責任といったものをより重視するようになれば、反道徳的な事業への融資を禁止しているイスラム金融に対する注目が高まっていくのも自然な流れかもしれません。金融機関としては、オイルマネーを取り込みたいということもあるでしょうが、それに加えてこのような視点を持つことによって、さらなる社会的役割を果たしつつ、より広範囲な投資家に商品を提供していけるのかもしれません。

もちろんイスラム金融という一つの世界だけではなく、(単純な拡張というわけではありませんが)より広範囲なSRIといった視点が重要になってくるのでしょう。小さなトレンドを見ることも大切かもしれませんが、こうした大きなトレンドを見ることはもっと大切かもしれません。常にこういう視点を持ち続けていけたら、と思います。


少し長いですが全文を引用しておきます(こういうのって、引用元さえきちんと明記しておけば引用しても構わないんですよね、、、?)。

Islamic finance seeks independence from politics By Roula Khalaf in Dubai

Published: November 18 2007 15:39 | Last updated: November 18 2007 15:39

Islamic finance experts are trying to disassociate the industry from political Islam, fearing the amalgamation could create a backlash in the west as the sector surges forward in its integration into the global economy.

Nasser al-Shaali, chief executive officer of the Dubai International Financial Centre Authority, on Sunday cited the need to disassociate Islamic finance from politics as one of the industry’s challenges.

The phenomenal rise of Islamic finance, a market now estimated at $750bn, with a growth rate of about 15 per cent a year, has coincided with a broader move among Muslim populations to assert their identity.

While it is true that the global war against terrorism waged by the US and its allies has intensified the search for solutions within Islam, enhancing the popularity of Islamist political movements, Islamic finance experts insist that the factors behind the sector’s development have far more to do with economics than politics.

“There’s a minority view that links political Islam with Islamic finance but that view needs to be eliminated,” Mr al-Shaali told FT.com. “We’ve sent the spectre of protectionism in the US and Europe and we cannot tolerate to see it spill over into Islamic finance.”

Islamic financial products, he added, appealed not only to Muslims. “By some estimates, subscription levels for sukuks [Islamic bonds] are 50 per cent from non-Muslim investors.”

Mr al-Shaali said there was a need to raise awareness about the industry and better communicate what it’s about to decision-makers abroad.

The growth of Islamic finance, he maintained, was driven by the interest in more ethical investing. “In an age of greed, well publicised corporate corruption and increased awareness of the social role and responsibility of corporations, investing in Islamic finance is a refreshing alternative,” he said.

Sheikh Yusuf Talal DeLorenzo, chief Shariah officer at Shariah Capital, a DIFC-based advisory company, said in a separate interview that the industry’s growth had most to do with its ability to compete with conventional banking.

“In the last 10 years, we begun to compete with conventional institutions, we can provide the same levels of service and perform with the same bottom line,” he said.

Humayon Dar, chief executive officer of BMB Islamic, a London-based advisory firm, said Islamic financial products are designed to appeal to moderate Muslims.

“Islamic finance is a modernist movement in Islamic communities,” he told FT.com. “It has no political agenda - it’s about a new Islamic identity for moderate Muslims and an attempt to bring Muslims out of the mosque and into the market they interact and trade with people.”

He noted that for the first time, Islamic clerics were dealing with the “torch bearers of capitalism.” If funds from the region are not going into the US as fast as in the past, he added, it was not due to a lack of interest by investors but is rather blamed on the difficulty of accessing the American market.

Copyright The Financial Times Limited 2007

もとの記事はこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/0/30effdf0-95eb-11dc-b7ec-0000779fd2ac.html


(11月19日 追記)
若干ですが関連した記事がありましたので、リンクを追加しておきます。
イスラム金融よ日本に! 銀行の業務範囲拡大へ

最近はイスラム金融に関する日本語書籍も増えてきているようなので、とりあえず1冊くらいは読んでみようかと思います。


(11月20日 追記)
ブービヤンとアトラス、日本で初めてイスラム金融活用し国内不動産取得


(11月21日 追記)
S&Pと東証、イスラム投資家向け日本株指数を開発

中東マネー狙いイスラムファンド認可 香港

最近は、イスラム金融関係のニュースが非常に多いですね。

単に先日の記事のアップデートだと思われますが、ファイナンシャルタイムズにまた不動産デリバティブに関する記事が載っていました。

今年に初めて不動産デリバティブの取引が行われた国として、前回の記事では、フランスとドイツでしたが、今回の記事では、イタリア、スイス、香港に加えて、日本と書かれています。以前、このブログでも取り上げたあの事例ですね、きっと。

特に加えるコメントもないのですが、世界的に不動産デリバティブが拡大していきそうな予感は十分ありますね。記事でも言及されているように、10年前にクレジットデリバティブ市場はあったのか?ということは、10年後には不動産デリバティブ市場が巨大なマーケットになっている可能性がありますね。


Weaker property prices fuel derivatives

By David Oakley in London

Published: November 4 2007 22:31 | Last updated: November 4 2007 22:31

The volumes of derivatives based on property have more than doubled in the past year as more banks, investors and companies seek to bet on the asset class and to hedge against a fall in valuations.

Bankers say weakness in commercial property prices in some of the key economies, such as the UK and the US, have boosted trading flows.

Property derivatives enable investors to bet on property price movements without having to buy the actual bricks and mortar. The contracts tend to be instruments such as swaps where one party bets that property returns will exceed a set benchmark, such as the London Interbank Offered Rate in short-term money markets, while the other bets that it will not.

In the UK, which has the biggest market in the world, property derivatives volumes rose above £10bn ($20.8bn) in the third quarter, double the level seen in the same period last year. The sector was only worth £200m at the start of 2004, according to the Investment Property Databank.

Significantly, the third quarter saw the first trades in Italy, Switzerland, Hong Kong and Japan. The US market has grown tenfold since March from $50m to $500m.

Guy Ratcliffe, head of property derivatives at Morgan Stanley, said: “Property is the biggest asset class in the world, so it makes sense for it to have a big derivatives market.

“If you look at credit derivatives 10 years ago, there was no market. There is no reason why property derivatives cannot also grow to become a very large global market.”


Copyright The Financial Times Limited 2007

もとの記事はこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/0/cc953c7a-8b00-11dc-95f7-0000779fd2ac.html?nclick_check=1

どうやら最近は不動産ヘッジファンドなるものが登場しているようです。

ヘッジファンドと言えば、マクロ的な視点からのグローバルマクロや、M&Aなどのイベントドリブン、それから株式を対象としたロングショートなどがありますが、不動産ヘッジファンドの場合、不動産デリバティブを利用したロングショートが主なストラテジーのようです。株式を対象にしたヘッジファンドがどのように形成され、どのように発展して行ったかを考える事で、不動産ヘッジファンドの今後の動向がある程度読めるかもしれません。ただ、不動産の場合、株式と比べて流動性が全く違うので、そう簡単ではないと思いますが。

以下、ファイナンシャルタイムズの記事より。

Property derivatives point way in wake of credit squeeze

By David Oakley

Published: October 26 2007 03:00 | Last updated: October 26 2007 03:00

As banks and hedge funds increasingly seek new ways to shore up balance sheets in the wake of the credit squeeze, property derivatives have emerged as a lucrative way of bolstering returns.

In the UK, which has the most developed market in the world, commercial property derivatives are expected to see volumes rise to £8.5bn - a 20 per cent jump since June - when new figures are published next week.

Michael Levi, head of property derivatives at CBRE-GFI, a joint venture between broker GFI and property group CB Richard Ellis, which is now a leading broker in property derivatives, said: "People are using property derivatives very effectively now. Despite the credit crisis, we have seen a lot more participants in the past few months.

"The banks are increasingly active. Hedge funds are starting to get involved too. Users see it as a good way to get exposure in a market that has a very cumbersome underlying product."

Property derivatives enable banks and funds to bet on the price movements of commercial property without having to buy the actual bricks and mortar.

The contracts tend to be swaps, with one party betting that property returns will outperform a set benchmark, such as the London Interbank Offered Rate (Libor), while the other bets that it will not.

The products may attract even more interest in light of the Bank of England's warning this week that the commercial property sector was "particularly prone to further shocks".

The reason the UK has been successful in developing the market is down to the quality of the data used for trading from the Investment Property Databank.

In the US, which has seen worthwhile volumes only since March, the market is growing fast, with an estimated $500m in trades compared with a meagre $50m at the start of the year. France and Germany have also seen the first trades in these derivatives this year.

(後略)

もとの記事はこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/0/72c3d48a-835e-11dc-b042-0000779fd2ac.html


UK、USを中心に、市場が急拡大しているようです。今まで不動産市場が上げ相場だったため、需給があまりマッチしていなかったようですが、今後は下がっていくと見る投資家たちが増えてきているため、不動産デリバティブ(上の説明にあるように不動産インデックスとLIBORのスワップ)のボリュームが拡大しているようです。

上の記事にもあるように市場拡大を握る鍵は、デリバティブの原資産となる不動産インデックスのクオリティのようです。日本では、インデックスという面ではやはりまだ厳しい状況なのかもしれません。

そういえば、ISDAで不動産デリバティブ用のひな型も用意されたみたいなので、これも市場拡大の要因になるかと思われます。いろいろと条件がそろって来ている気がします。


もとネタは同じ気がしますが、ファイナンシャルタイムズにもう一つ関連する記事があったので引用しておきます。

FT REPORT - WEEKEND MONEY - FRONT PAGE: Commercial property

By Elaine Moore and Steve Lodge, Financial Times
Published: Oct 27, 2007


Private investors are being advised not to invest in commercial property funds following reports that the sector is likely to fall during the next two years. But for those who take a bearish view of the market, there are also opportunities to make money from a downturn.

This week, the Bank of England warned that commercial property was "particularly prone to further shocks". It followed a prediction from the Royal Institution of Chartered Surveyors that commercial property prices would fall 5 per cent this year and next, limiting returns including income to just 3 per cent this year, and zero next year. Commercial property funds are already being affected and have just recorded their first fall in total returns in 15 years.

However, property hedge funds are thriving on the volatility. Property derivatives allow these funds to take short positions and so profit from falling prices.

(後略)

もとの記事はこちらから。
http://search.ft.com/ftArticle?sortBy=gadatearticle&queryText=property+derivative&y=0&aje=true&x=0&id=071027000048&ct=0&nclick_check=1

以前、「タキシードとバリアンススワップとラテンパーティー」というわけのわからないタイトルのエントリを書きましたが、そもそも「バリアンススワップとは何か」について、ご存知の方は少ないと思いますので、簡単に説明を書いておきます。


ただし、少し専門的過ぎる話ですので、ご興味ない方は飛ばされた方がよいかと思います。


一言で言ってしまえば、「バリアンススワップというのは、ボラティリティの2乗であるところのバリアンスについてのフォワード契約(先渡契約)」です。金融派生商品(デリバティブ)の一種で、投資銀行やヘッジファンドなどの機関投資家間で取引が行われています。2000年以降くらいから、少しずつ取引されるようになって来ている商品です。

ということで、まずフォワード契約とは何かをご説明します。これはあらかじめ定めた価格でもって、将来のある時点において売買する契約のことです。例えば、ガソリンを買う場合を考えてみます。ある時、1リットル100円で売られていたとします。将来、価格が上がりそうだからできるだけ買っておきたいけど、そうは言っても車のタンクの容量は有限です。多めに買って、家で保存しておくというのは難しいでしょう。そこで、3ヵ月後に50リットルのガソリンを1リットル当たり100円(フォワード価格。ここではたまたまスポット価格=フォワード価格としていますが、一般には必ずしもそうではありません)で買う契約をガソリンスタンドの人と結んだとしましょう。すると、3ヵ月後に5000円払って、50リットルのガソリンを受け取ることになります。

実際、3ヵ月後のガソリン価格が1リットル当たり120円であれば、このフォワード契約をした人は、受け渡し時点において120円のものを100円で買えるわけですから得をしたことになります。また、3ヵ月後にガソリン価格が1リットル当たり80円になっていたら、受け渡し時点において80円のものを100円で買わなければならないので、この人は損をしてしまうわけです(買うという契約なので破ってはいけません)。

こうすることで、何がうれしいかというと、将来の価格変動リスクをヘッジ(回避)することができるわけです。つまり、3ヵ月後の価格が上がっていようと、下がっていようと、1リットルあたり100円で買うという約束をしたので、価格を現時点でもって確定させることができるわけです。これがフォワード契約です。


では、バリアンススワップとは何なんでしょうか。おそらく最もポピュラーなのは株価のボラティリティに関するものだと思われますので、まず「株価のボラティリティとは何か」をご説明します。

例えば、株価が次の表のように推移したとします。

volatility.JPG

すると、日次のリターンは、

当日株価 / 前日株価 - 1

という式で計算することできます。例えば、9日目から10日目へのリターンは、

501 / 495 - 1 = 0.0121 = 1.21%

と計算することができます。上の表にある、このリターンの標準偏差(ただし、年率換算したもの。例えば√250などを乗じます)を計算したものをボラティリティ、分散をバリアンスと呼んでいます。この場合は、ボラティリティが0.2151、バリアンスが0.0463となります。

バリアンススワップとは、このバリアンスに対するフォワード契約です。上の表を使って説明すると、1日目においてバリアンススワップ契約を結んだとします。フォワード価格(行使価格という表現の方が適切な気がしますが、、、)が0.0400のバリアンスだったとしましょう。このバリアンススワップの買い手は、20日後にバリアンスを0.0400で買うという契約を結んだわけです。ここでバリアンスを買うというのは、バリアンスの数値に対応するお金を受け取るという意味です。

そして、実際に20日後になって、計測期間のバリアンスを計算してみたところ、0.0463になっていました。バリアンススワップの売り手は、買い手に対して0.0463を支払い、買い手は売り手に対して0.0400を支払うわけですから、結局のところ、バリアンススワップの売り手が買い手に対して0.0063(= 0.0463 - 0.0400)だけ支払うことによって、このバリアンススワップ契約は終了します。

ガソリンの場合と違って目に見えるものを受け渡しするわけではないので、わかりづらいかもしれませんが、これがバリアンススワップ契約の最も基本的なものです。主にはオプションの投資家(ヘッジファンドなど)がベガのヘッジ目的、もしくは純粋にボラティリティの方向性に賭ける目的で取引していると思われます。

わかりやすく書いたつもりですが、わかりづらいかもしれませんね、、、

金融商品として、このようなものもあるということで。

最近ニュースを引用してばかりですが、今日もまた目に付いたニュースがあったのでご紹介します。


北海道の「森オーナー制度」、満期93%元本割れ

2007年09月22日03時02分

 北海道の公共林に出資し、収益を受け取る道の「北ぐにの森オーナー制度」をめぐり、満期契約者の93%が元本割れし、3人に1人は6割程度しか回収できなかったことが朝日新聞の調査でわかった。制度は86年度に始まったが、木材価格が下落したにもかかわらず、元本保証しないことをパンフレットに書かないまま募集を継続。集団訴訟の動きがある「緑のオーナー制度」の募集を国がやめた翌年の99年度を最後に、ようやく道も募集をやめていた。

もとの記事および続きはこちらから。
http://www.asahi.com/national/update/0921/TKY200709210343.html


そもそも、元本保証しないことをパンフレットに書かずに募集、ってそんなことありなのでしょうか。(法律的には)いわゆる金融商品の枠組みに入らないのかもしれませんが、出資者(投資家)にきちんとリスクとリターンを説明せずに募集するなんてのはいかんと思います。

逆に投資家側としても、投資する際はリスクをきちんと理解できるまでは投資するべきではないと思います。もちろん、「寄付したつもり」くらいの気持ちであればよいのですが、「元本保証の利子が高めの預金」なんて認識だったら大変です。


道の担当者は「木材価格がこんなに下がり続けるとは予想しづらかった」「苦情は聞いていない。森林を守る制度に参加した、と理解いただいていると思う」と話す。


担当者の予想が当たるかどうかによって償還額が決定されるのであれば、これはまさにファンドですよね。今後、苦情が出なければよいのですが。


上のニュースでも触れられていますが、北海道だけでなく国も同じようなことをやっています。


林野庁「緑のオーナー制度」で元本割れ・リスク示さず

 国有林の育成・管理に個人や団体が出資する林野庁の「緑のオーナー制度」で、ほとんどの出資で元本を割り込んでいることが3日、わかった。輸入木材の増加で国産の市場価格が下がったことが影響した。公募を始めた1984年度から約9年間、元本割れリスクの説明をせずに出資を募っており、同庁は「当初は(元本割れを)想定していなかった」としている。

 同制度は、出資者が国と国有林を共同保有し、そこで伐採したスギやヒノキなどの販売収益が分配される仕組み。出資額は一口当たり50万円で、98年度までに延べ8万6000の個人・団体から出資を募った。調達額は計500億円にのぼるとみられ、赤字の続く国有林事業に充当されてきた。(20:28)


こちらも、「当初は(元本割れを)想定していなかった」とか言ってますが、その程度のリスクも予想できないような人が商品を開発して供給してしまっていた(今は改善されていると信じています)というのは、どんな世界なのでしょうか。

当たり前のことを当たり前にやるということはなかなか難しいんですね。年金の例を見てもそれは明らかです。

英国で最もホットなニュースと言えば、ノーザン・ロックの取り付け騒ぎでしょうか。昨日、南仏旅行のブログを書きながらラジオを聞いていたのですが、ノーザン・ロック一色でした。


英国で「取り付け」騒動 サブプライム余波
2007年09月15日20時09分

 店頭には預金を引き出そうとする人が列をなし、インターネットによる口座へのアクセスも殺到――。住宅ローンが主力の英中堅銀行「ノーザン・ロック」で14日、「取り付け」に近い騒ぎがあった。米国のサブプライム問題を発端とする金融市場の混乱で資金繰りが難しくなり、イングランド銀行(英中央銀行)に支援を仰いだからだ。

 ノーザン・ロックは住宅ローンで英国5位。資金調達で市場への依存度が高かったため、銀行間の資金取引の冷え込みがもろに響いた。

 ただ、金融当局は「貸し出しは健全だ」と説明、イングランド銀も「金融機関への最後の貸手の役割を果たす」と強調し、騒ぎが他の金融機関にまで広がることはなかった。

 もっとも、サブプライム問題が市民生活にも影響すると英国民に印象づけたことは事実。欧州では、サブプライム関連の投資が焦げ付いたドイツの中堅銀行も行き詰まっており、欧州の一般市民にも不安感が広がりそうだ。

もとの記事はこちらから。
http://www.asahi.com/business/update/0915/TKY200709150252.html


昨日時点でも、騒ぎはまったく収まっていないようです。


英ノーザン・ロック、預金流出やまず 国有化も

米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題の余波で、中央銀行の英イングランド銀行から緊急融資を受けている住宅金融5位のノーザン・ロックの預金流出が、17日も収まらない。事態が沈静化しなければ金融当局は救済合併支援などの措置を迫られる可能性があり、実質的な国有化も選択肢としてささやかれている。

 17日、同社の国内各支店は通常より1時間早い午前8時から営業を開始し、預金の引き出しに来た客の対応に追われた。オンライン取引も、回線のパンクでパニックを起こさぬよう接続容量を拡大した。

もとの記事および続きはこちらから。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/economy/finance/85022


で、マンチェスターのシティセンターにあるノーザン・ロックはどんな状態かというと、昨日の昼間通りかかった時点では以下のようでした。


NorthernRock.jpg


ファイナンシャルタイムズの記事によると、この余波はまだまだありそうです。

UK to guarantee Northern Rock deposits

By Jean Eaglesham, Peter Thal Larsen, Chris Giles and Lina Saigol in London
Published: September 16 2007 20:31 | Last updated: September 17 2007 18:57

Alistair Darling, chancellor of the exchequer, has announced that the government will guarantee all deposits of Northern Rock account holders, and any other bank that found itself in a similar position, as ministers sought to calm savers’ fears.

The government’s move, which goes far beyond the current scheme for protecting depositors, came amid signs the crisis of confidence in Northern Rock was spreading to other lenders, with shares of Alliance & Leicester falling 31 per cent on concerns that the bank would be the next to turn to the Bank of England for assistance.

もとの記事および続きはこちらから。
http://www.ft.com/cms/s/2/39199b78-6489-11dc-90ea-0000779fd2ac.html


日本では導入時にペイオフ解禁と一時けっこう騒いでいたと思いますが、預金保険制度があるのでほとんどの個人の方は適切に対応をしていれば問題にならないはずです。というのは、日本では1行あたり1000万円+利子が保護されているからです。この「1行あたり」というのが重要です。仮に1億円の預金を持っていたとしても、1000万円ずつ10の銀行に分散して預金していれば全額保護されることになるわけです。ということで、一部のお金持ちおよび多額の預金を持っている企業を除けば、個人ベースで心配する必要はほとんどないはずです。個人で1億円の現金を持っていたら、そもそも他の金融商品で運用した方がよいと思いますす。そういう意味で、預金で1億円を持ち続けなければならない状況にいる方というのは非常にまれだと思います。


で、上のようにノーザン・ロックには行列ができているわけですが、この人たちはものすごいお金持ちなのでしょうか、それとも企業の経営者なのでしょうか。それはわかりませんが、英国での預金保険制度についてちょっと調べてみました。

英国の預金保険制度は、上のファイナンシャルタイムズの記事によると以下のような記載がありました。

The existing deposit guarantee scheme protects part or all of the first £35,000 of an individual’s savings only.


これだといまいちわからないのですが、BBCのニュースでは以下のように書かれています。

Banks are already covered by the Financial Services Compensation Scheme which protects 100% of the first £2,000 in any bank account and 90% of the next £33,000 - giving a maximum payout of £31,700 if a bank did go bust.

もとの記事はこちらから。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/6999615.stm


さらに、BBCの説明と同じですが、以下のように英国ニュースダイジェストのサイトにも載ってました。

英国の銀行が倒産したら、日本のペイオフ(一銀行につき預金額1000万円までの預金者保護システム)のようなシステムはありますか。
1つの銀行が倒産した場合、最初の預金額2000ポンドの100%が、次の3万3000ポンドの90%が英国金融監督庁の補償スキームにより補填されます。従って、最高3万1700ポンドまでの預金が保護されます。それを超える金額については、預金保護の対象になりませんので破綻した銀行の清算状況によります。

もとの記事はこちらから。
http://www.news-digest.co.uk/news/content/view/517/84/


3万1700ポンドということは、今の為替レートだと約730万円です。日本より保証額が低いですが、ノーザン・ロック一行に預金を集中させていなければ、問題になるとは思えません。そういう意味では、どうしても現預金で持っていたい場合は、銀行をある程度分散させておくことが重要かと思います。

少し古いですが、他の海外諸国の比較について以下の記事が参考になります。ドイツがけっこう低いです(フランスは記載ミス?)が、あとは日本と大きくは変わらない水準のようです。
http://www.nishinippon.co.jp/media/news/0203/payoff/payoff.html


日本で自分が利用している銀行がもしこのような事態になったら、自分はどのような行動に出るかなぁ、と考えてみたのですが、おそらく何もしないんだろうと思います(なってみないとわかりませんが)。というのは、

1.そもそも1つの金融機関で1000万円も預けているところはない
手元に来るのは多少時間がかかるかしれませんが、預金保険機構によって保護されているわけですから。(特に今回のノーザン・ロックの場合なんかだと、政府が全額保護するといっているので、とりあえずはそれを信じます)

2.分散して預けているので1つの銀行で問題が発生しても、日常生活に支障をきたすことはない
(現在のUKだとCurrent Account(普通預金)は1つの銀行のみなので、問題になり得ますが、、、)

といったところでしょうか。こういった仕組みを知らないがために、店頭に駆け込んでいる方もいらっしゃる気がします。基本的な知識を身に付けておけば、必要以上に不安になることはないと思うので、こういったことは大事だと思うわけです。

なんか、ちょっと長くなってしまったので、このへんで。


(追記)
こんな記事を書いていたところ、政府が全額保証をしたことによって、徐々に落ち着きを取り戻しつつあるようですね。よかった、よかった。さらに、FSAのトップが預金保険の制度も見直す方向だというコメントをしたようです。


'Savers return' to Northern Rock

Shares in Northern Rock have recovered some ground after the government promised to protect savers' deposits.

もとの記事と続きはこちらから。
http://news.bbc.co.uk/1/hi/business/7000035.stm

日銀がイスラム金融委員会に参加するそうです。


日銀、イスラム金融委員会に参加

 日銀は14日午前、イスラム金融の国際基準策定機関である「イスラム金融サービス委員会」(IFSB、本部クアラルンプール)からオブザーバーとしての参加が承認されたと発表した。日銀は、発展するイスラム金融についてイスラム圏の中央銀行や有力な民間金融機関などとの間で情報の収集・交換を進めることができると判断して、参加を申請していた。(14:01)

もとの記事はこちらから。
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20070914AT2C1400F14092007.html


日経BPの「成長著しいイスラム金融に乗り遅れるな」という記事によると、日本の金融機関はかなり出遅れているようですが、今後本格的に算入していく日系の金融機関は増えていくのでしょうか。

金融は国が違ってもたいていの場合同じ仕組みで動いているんだと思いますが、イスラム金融だけはかなり異なった特徴を持っているようです。簡単な説明を見つけましたので、ご参考まで。


イスラム金融とは、イスラム法に則った金融取引・サービスの総称のこと。イスラム教の聖典「コーラン」等の教えにもとづき、金利の受け払いや反道徳的な事業への投融資の禁止などの特徴がある。

原油価格の上昇等により、湾岸産油国の石油収入が増加し、資産運用ニーズが高まっていること、そして一方で、中東におけるインフラ・プロジェクトが増加し、資金調達ニーズも高まっていること等より、近年「イスラム金融」が注目されている。

イスラム金融の特徴
イスラム教の聖典「コーラン」等の教えにもとづき、以下のような特徴がある。


  • 「金利」の受け払いが禁止されていること

  • イスラム法に照らして反道徳的な事業(豚肉、アルコール、賭博、武器製造など)に対する投融資が禁止されていること

  • 不確実性のある物に関する契約等や投機的行為が禁止されていること

  • 投融資により発生する利益、損失については事前に合意された割合に応じて分担すること

イスラム金融に関する説明はこちらから。
http://www.nomura.co.jp/terms/vogue/islam.html


金融の場合、慣習が異なれば当然現地のやり方に合わせなければなりませんし、やはり法律的な面が非常に重要ですから、契約書等で文言が違ったりすると大問題になりかねないわけです。ということで、イスラム金融に参入するのであれば、イスラム金融の専門家が重要になってきます。

最も有名な特徴は、「「金利」の受け払いが禁止されていること」だと思います。日本であれば銀行に預けておけば、利息がもらえる。これは当たり前なわけで、アメリカに行っても、イギリスにっても、フランスに行ってもこれが当たり前なわけです。ところが、ぼくらにとってはこの当たり前とも思われる行為が、当たり前ではない地域が世の中にはあるようです。

留学して、様々な国から来たクラスメイトと過ごして感じたのはまさにこれで、日本では当たり前だと思っていたことが、彼らにとっては全く当たり前ではなかったりすることが多々ありました。そのような時、まず大切なのは、どちらがよいとか悪いとかいう話ではなく、お互いの違いをきちんと認識し、それを認識した上でどのように対処していくか向き合って話していくことだと思います。

そういう意味では留学前と比べて確実に視野が広げることができたのかなぁ、と思います。グローバル化、グローバル化と言われていますが、こういった違いまで統一されるようなことはおそらくないんでしょうね。


ちなみに、金利の受け払いは禁止されているものの、実質的には金利の受け払いに相当する受け渡しをしている、とどこかで聞いたことがあります。奥が深そうですね。

もう1ヶ月も前の記事ですが、財務省が8月1日から掲載し始めて、

2007/07/31-14:27 ホームページに「借金時計」=1日から、1秒19万円増加-財務省

 財務省は31日、国と地方の長期債務残高が刻々と増えていく様子を表した「借金時計」を8月1日から同省ホームページに掲載することを明らかにした。2007年度末の借金は前年度末比約6兆円増の約773兆円に達する見込み。1秒間に19万円増えている計算になり、この様子を兆円、億円、万円の単位でデジタル表示する。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%bc%da%b6%e2%bb%fe%b7%d7&k=200707/2007073100591


2時間半で停止してしまった借金時計はその後どうなったんでしょうね。


2007/08/03-18:37 借金時計、2時間半で停止=アクセス増に耐え切れず-財務省

 財務省が1日にホームページに掲載した「借金時計」にアクセスが集中し、通信回線に負荷がかかり過ぎたため、わずか2時間半で掲載を停止していたことが3日、分かった。借金時計は国と地方の長期債務残高が1秒間に19万円のペースで増える様子を国民に示すのが狙いだったが、その思惑も時計とともに狂った格好だ。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%bc%da%b6%e2%bb%fe%b7%d7&k=200708/2007080300793


現在でも借金時計掲載の一時停止が財務省のページには載っていますが、借金時計は財部誠一さんのホームページにはだいぶ前から載ってます。


けっこうな勢いで増えてますね。

日経不動産マーケット情報に以下のようなニュースが掲載されていました。日本初、アジア発の不動産デリバティブ取引が行われたようです。

英グロブナー、日本の不動産を対象にデリバティブ取引を実施 2007.08.10

英国の大手不動産会社、グロブナーは2007年7月、日本の不動産を対象としたデリバティブ取引を実施した。IPDジャパン(本社:港区)が国内のREIT保有物件の運用収益を基に算出している不動産インデックスを指標としたもので、両社によると日本初の不動産デリバティブ取引だという。取引は英ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)が仲介した。


記事は以下のページから。
http://nfm.nikkeibp.co.jp/fa/members/news/20070809/510500/


以下の IPD および Grosvenor のサイトに、より詳細が掲載されています。

http://www.ipdindex.co.jp/library/letter/026.html

http://www.grosvenor.com/NR/rdonlyres/131820C6-2286-46A4-8013-9C011873D0F9/4801/070726JapaneseDerivsRelease_Final_.pdf


IPDインデックスを基にしたトータルリターンスワップということで、英国では主流の取引形態だと思われます。IPDインデックスは不動産インデックスの中ではメジャーなもののようで、不動産を原資産としたリアルオプションのボラティリティ算出時にも参考として使われることがあるということを今学期のリアルオプションの授業で勉強しました。株式と異なり、不動産の場合、同じもの(例えば、丸ビル、とか)が頻繁に取引されることはないので、リアルオプションのためのボラティリティ算出が非常に難しいわけですが、このようなインデックスを計算することで、少なくともある程度の目安を与えるという役割を担っているものと思われます。

少し話がそれてしまいましたが、不動産デリバティブ、日本でも普及していくのでしょうか。機関投資家にとっては、不動産のエクスポージャーが取りやすくなるという意味において、投資機会が提供されるので一定のメリットはあるかと思いますが、英国と違って日本の場合はREIT市場が先に普及しているので、単純にエクスポージャーを取るという点のみならず、デリバティブ特有の魅力がないとなかなか普及は難しいような気もします。最も、デリバティブ特有の魅力を出そうとすると、取引が複雑になってしまって、取引自体が難しくなってしまう可能性もありますが。

一方で、REIT(およびそのインデックス)を原資産としたエクイティデリバティブという形で、不動産デリバティブにかなり近いことはできそうな気もしますが。

いずれにしろ不動産と金融の融合は今後も進んでいくのでしょうね。

すごいことになってますね。キャリートレードのやりすぎですか?

とりあえず、ポンド円のグラフです。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/rate/chart_gbp.htm

ちなみに、まだ学校です。

最近の日本の証券市場の話題と言えば、ブルドックソースvsスティール・パートナーズの件かと思いますが、けっこうすごい事になってますね。ついに防衛権の発動ですか。


ブルドック買収防衛策、11日発動・スティールは最高裁へ抗告

 ブルドックソースは11日、米投資ファンドのスティール・パートナーズに対する買収防衛策を発動する。ブルドックが全株主に無償で発行した新株予約権の効力が同日発生するためだ。予約権を使った防衛策の発動は国内初となる。

 防衛策はスティールがブルドックに対して実施しているTOB(株式公開買い付け)への対抗措置。スティールが取得する予約権は権利行使できず、予約権1個につき当初のTOB価格の4分の1に当たる396円で買い取る。総額は約23億円。スティールの持ち株比率は約10%から3%弱に低下する。

 一方、スティールは10日、ブルドックの買収防衛策差し止めを認めなかった9日の東京高裁の決定を不服として最高裁へ抗告を申し立てた。ブルドックの新株予約権が株主平等原則に反するとの主張を改めて訴える。高裁で「濫用(らんよう)的買収者」と認定されたことも争う考えだ。(23:18)

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070710AT2C1002S10072007.html


「濫用的買収者」って、「エッ?そうなの?っていうか、何それ?」と思ったのはぼくだけでしょうか。実際、この高裁決定ってなんて書いてあったんですかね。日本にいたら日経新聞の紙面とかに載ってるかと思いますが、こちらだと日経のサイトにも載ってないので、ブログとかで断片的にしか読めてません。

例えば、ITAKURASTYLE 「高裁決定の要旨について」からは、

「短中期的に対象会社の株式を対象会社自身または第三者に転売することで売却益を獲得しようとし・・・」

とか、ブルドック事件・高裁決定を読んだ後で からは、

「真に会社経営に参加する意思がないにもかかわらず、もっぱら当該会社の株価を上昇させて当該株式を高値で会社関係者等に引き取らせる目的で買収を行うなどのいわゆる濫用的買収者」・・・「このような濫用的買収者は株主として、差別的な取扱を受けることがあったとしてもやむを得ない」

などの情報がありました。おそらく上の二つの高裁決定は同じことを言っているんだと思います。

法律的な解釈とかは素人なので、勝手なことを言いますが、裁判官ってスティール・パートナーズの行為をなんか勘違いしてるように思えるのはぼくだけでしょうか。

「もっぱら当該会社の株価を上昇させて」って、そんな簡単に株価って上昇させられるんですかね。相場操縦ってことでしょうか。それとも、風説の流布?

「当該株式を高値で会社関係者等に引き取らせる」ってあたりもよくわからないです。


株式市場なんて自分とは関係ない、とかって思っている方もひょっとしたらいらっしゃるかもしれませんが、実は年金の加入者であれば誰もが関係しています(以下の引用記事参照のこと)。年金の4割弱は国内外の株式で運用されています。選挙と違って、自分の意志を表明する機会も与えられないまま、将来受け取るであろう年金の4割近くは株式に投資されているわけです。

自分の資産であれば、預金、債券、株式、不動産、など自由にポートフォリオの構成を変更できますが、年金ばかりはいくらリスクを取りたかろうが、取りたくなかろうが、株式等のリスク資産に投資していることになります。

その株式市場で、現在大変な事件が起きているわけです。

これは注目せずにはいられません、、、


支払った公的年金は誰が運用してるの?
7月08日 16時07分
 不祥事が次々と明らかになる中「社会保険庁に大切な年金を預けられない」と思った方も多いかもしれません。しかし社会保険庁は年金個人情報を管理していますが、年金積立金の運用は行っていません。国民の財産を預かる重責を担うのは誰でしょうか?

(中略)

 年金の掛け金は社会保険庁を通じて管理運用法人に運用寄託されます。管理運用法人は一部の国内債権の直接運用を除いて投資顧問会社や信託銀行といった民間運用機関へ運用寄託します。このような流れを経て国内・国外の債券市場・株式市場へ投資された資金が運用益を生み出すことによって、厚生年金と国民年金は成り立っているのです。

 年金局のホームページを見てみると、過去と最新の運用状況はもちろんのこと、寄託された運用機関名。どこの運用期間がどの様な種類の運用を任されいくら資産を増やしたか(減らしたか)といった情報がかなり細かく公開されています。

 これを見ると実に多くの運用機関とファンド(投資信託の様なもの)に分散投資されていることがわかります。また、海外資産へも25%以上投資されています。「外貨は為替リスクが怖い」「株なんかやったことがない」と言う人も、年金保険料を払っている人ならば、知らず知らずのうちに敷居が高いはずの外国株式投資をやっていることになります。

  数十年間という運用機関を念頭に計画的に投資されている資産ですから公開されている数年間の運用実績に一喜一憂する必要は無いのかもしれませんが公的年金に加入している以上、その推移は注意深く見守る必要があるでしょう。

 (参考・厚生労働省年金局ホームページより)

 【平成17年3月末の委託運用資産額】
信託銀行10行33ファンド 39.2兆円(時価)
投資顧問30社46ファンド 13.7兆円(時価)
自家運用    2ファンド  5.5兆円(時価)

【平成18年度末 運用資産構成状況(ポートフォリオ)】

国内債券 50.50%
国内株式 22.72%
外国債券 10.65%
外国株式 15.21%
短期資産  0.91%

文■赤井 信文(ファイナンシャルプランナー)

元の記事は以下のリンクから。
http://news.ameba.jp/2007/07/5662.php

ちょっと旅に出ていた間に以下のような発表があったようです。


「不動産デリバティブ研究会報告書」を公表/国交省

 国土交通省は25日、「不動産デリバティブ研究会報告書」を発表した。

 同省は2007年2月、諸外国における不動産デリバティブの現状を分析するとともに、本格的な不動産デリバティブ登場に備え、あるべき条件を検討することを目的とした「不動産デリバティブ検討会」(座長:川口有一郎早稲田大学大学院教授)を設置。今回の報告書は3回に渡り検討してきた内容をまとめたもの。

 報告書では、1991年に世界初の上場不動産デリバティブ市場が創設された英国で、トータルリターンスワップ(TRS:不動産の総合収益率とロンドン銀行間取引金利などの金利を交換するスワップ契約)などを中心に市場が拡大。TRS市場が1兆4,000億円規模になっていることなどを紹介。日本でも、不動産のリスク資産化の進展、直接金融や市場型間接金融の進展、一般事業法人の不動産リスク上昇など、デリバティブ登場の機会が高まっているとした。

 また、不動産デリバティブのメリットとして、(1)効率的なリスクシェアリングによる不動産市場の安定化(2)新しい資産運用機会の創出(3)透明性のある価格体系と新たな市場情報の発信などをあげる一方、デメリットとして(1)ボラティリティのさらなる拡大の可能性(2)投機的なデリバティブ市場の可能性(3)実物不動産や証券化不動産市場への資金流入減少の可能性、を指摘している。

 こうした背景から、今後、検討・実施すべき施策として(1)不動産デリバティブも視野に入れた幅広い情報収集の実施(2)良好な不動産デリバティブ市場が成立するための条件整備(3)不動産デリバティブについての普及・啓発および研究の促進をあげている。

http://www.re-port.net/news.php?ReportNumber=12988


「不動産デリバティブ研究会報告書の公表について」(国土交通省のページ)
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/03/030625_.html


日本でも不動産デリバティブが導入されるのでしょうか。

この報告書、読んでみましたが98ページもありました。(当たり前といえば当たり前ですが)様々な観点から幅広く不動産デリバティブのメリット、デメリット、そして海外での状況および国内において導入に際してしなければならないことなどがまとめられていました。デリバティブの基本用語などもすべて(簡単にですが)説明がついていたので、とても読みやすい資料だと思います。

不動産デリバティブって、どのくらいメリットがあるんですかねぇ。よく言われることですが、同じ不動産は二つとないわけで、デリバティブのユーザー、特にヘッジャーの立場から見て、どのくらい有益に使えるのでしょうか。

この報告書に書いてありましたが、日本の場合、導入されるとしても法整備にかなり時間がかかりそうな気がします。エクイティデリバティブとかでもヘッジ会計の適用要件とかがけっこう細かく決まっていて使いづらい面も多い気がしますが、不動産デリバティブの場合、そのあたりをかなり緩くしていかないと結局は理解が得られず浸透せずに終わってしまう可能性も高い気がします。

いずれにしろ、今後も不動産と金融の間の垣根が低くなっていくことは間違いないんだと思います。

少し前のニュースですが、ニュージーランドの政策金利が8.0%に引き上げられたようです。これは先進国の中ではダントツに高いと思われます。イギリスでは5.25%ですが、アメリカ、カナダ、ユーロ圏、日本、とこれほどまでに金利が高い国は現在ありません。

一方、インフレ率が高いのかと思いきや、3%以下の水準のようなので、新興国に見られるような高いインフレというわけでもないようです。ということは、実質金利で5%前後ということになるでしょうか。もちろん、実際に享受できる預金金利がどの程度かによりますが、5%程度というのはなかなかよい数字だと思います。(ニュージーランドの銀行システムをよく知りませんが、銀行の倒産リスクを除けば)ほとんどリスクを取ることなく、5%程度のリターンが望めるわけですから。

日本円だと銀行の金利はほぼゼロが未だに続いているわけですから、うらやましい限りです。最近少し上がって、1%くらいの金利のものもあるかと思いますが、世界的に見たら圧倒的に低い水準です。こんなに低いのであれば、預けるよりも借りる方がよいと思われます。だからと言って、消費者金融などのレートで借りてしまっては元も子もありませんが、、、


ニュージーランド中銀、政策金利を8.0%に引き上げ

[ウェリントン 7日 ロイター] ニュージーランド準備銀行は7日、政策金利のオフィシャル・キャッシュレートを0.25%ポイント引き上げ8.0%にした。好調な住宅市場と内需を背景としたインフレ圧力の抑制をねらった。市場では大半が金利据え置きを予想していた。

 ロイターが事前に実施した調査によると、16人中12人が、政策金利の据え置きを予想していた。利上げの確率は、35%とされていた。

 第1・四半期のインフレ率は前年比2.5%だった。中銀は、中期的にインフレ率を平均1─3%の範囲に維持することが求められている。

 ニュージーランド中銀は3月と4月にそれぞれ0.25%ポイントの利上げを行った。その前の1年3カ月は、政策金利を据え置いていた。

 ニュージーランドの政策金利は先進国の間で最高水準となっている。

 同国中銀は次回7月26日に政策金利の見直しを実施する予定。 

 ボラード中銀総裁は声明で「内需は2006年終盤以来、特に家計部門で力強く伸びている。住宅市場の活動は堅調で、消費者信頼感も比較的しっかりした水準が続いている。さらに、雇用や投資に関する企業部門の指標も堅調な内容だ」などと述べたうえで「現時点では、国内経済に対するリスクは、引き続き上向きのようだ」との認識を明らかにした。

 また「乳製品を除く輸出セクターの一部は、ニュージーランドドルの水準が一因となり、引き続き困難な状況に直面するだろう。4月にも指摘した通り、ニュージーランドドルは、中期的なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)から見て異例かつ正当化できないほど高い」との見方を示した。

以下のサイトからの引用です。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-26318520070606

今日のファイナンシャルタイムズ1面トップは以下の記事でした。USで不動産デリバティブが本格的に始まるようです。日本で始まるのもそれほど遠くない将来なのでしょうか。


Property derivatives poised for US launch
By David Oakley, Capital Markets Correspondent

Published: March 5 2007 02:00 | Last updated: March 5 2007 02:00

The first US commercial property derivatives market is to launch as early as this week, as four of the world's biggest banks join forces to create a trading platform that has the potential to grow into a multi-billion dollar business.

Credit Suisse is one of the four banks; the others are believed to be Goldman Sachs, Merrill Lynch and Bank of America.

The four banks have signed up to work with the National Council of Real Estate Investment Fiduciaries, which will provide the data from its US property indices, to create the market.

The banks and the NCREIF will create a similar platform to the one used in the UK, the only market in the world where a commercial property derivatives market has taken hold. The UK market has grown from virtually nothing to just under $10bn in the past two years, or just more than 1 per cent of the underlying commercial property market, which now stands at $800bn.

The move is another sign of the banks' hunt for profits in the expanding world of derivatives. The instruments make up the bulk of global trading activity at $450,000bn in outstanding contracts, dwarfing the $60,000bn in the total value of share trading on the 10 biggest exchanges, according to figures from the World Federation of Exchanges.

It is yet further evidence of the banks' desire to challenge the traditional exchanges as they attempt to make money on over-the-counter alternatives. Property is one of the few main asset classes without a developed derivatives market in the US, in spite of its size, estimated at $26,000bn.

While the recent bout of market volatility could overshadow a launch, it could encourage people to use property derivatives as it would give them an opportunity to hedge or protect their investments in uncertain times.

The banks will be given their licences to use the NCREIF data. Another three banks are also close to signing up for licences, according to Blake Eagle, NCREIF chief executive.

These banks are believed to include Lehman Brothers and Morgan Stanley.

Mr Eagle said: "The banks are very excited as this is a market with tremendous potential. And it won't just be the big banks that trade this. Hedge funds and insurance companies are showing real interest in developing this market."

The reason why the UK has been successful in developing a market is down to the quality of data, which are far superior than in any other country, provided by the standard benchmark that measures the size and growth of the commercial sector, the Investment Property Databank.

The NCREIF and the banks will use a similar format to that used in the UK, where derivative contracts are in effect swaps, which enable investors to exchange returns on property, based on IPD data, for an interest rate set against the London Interbank Offered Rate.

Copyright The Financial Times Limited 2007

http://www.ft.com/cms/s/792579c8-cabd-11db-820b-000b5df10621.html

よくよく考えてみると、サブリース契約とかって、変動を固定に変えるデリバティブ契約とみなすこともできるかもしれません(ちょっと無理があるかな、、、)。


話が変わりますが、ここ数日の為替の動きはすごいですね。ポンドはこの数日で15〜16円程度動いたようです(現在1ポンド222円程度)。これだけ動くのであれば、ジャンプディフュージョンモデルを使いたくなる気持ちもわかります。

最近、longevity risk ネタが多くなっていますが、ファイナンシャルタイムズで毎日のように取り上げられているので、書かないわけにはいきません。

今回は以下の記事です。ちょっと長いですが、全文がWebに掲載されていたので引用させて頂きました。


Difficulties of giving life to longevity risk market
By Tony Jackson

Published: November 28 2006 02:00 | Last updated: November 28 2006 02:00

Longevity risk is one of the burning topics in the world of investment. Pension funds would dearly love to protect themselves against it. Investment banks have laboured for years to devise such protection. So far, nothingmuch has emerged.

Yet it is easy enough to envisage how such a market might work. All it takes is enough liquidity to form market prices, so that investors can buy and sell in the usual way. The question is how to kick-startthe whole process.

To illustrate the difficulty, let us look at how some existing classes of derivatives work, and how longevity might fit in. In each case, the crucial question is how the provider of protection hedges the risk.

Class I: An investment bank offers protection on a security or an index, such as the FTSE 100. It then hedges its position through the cash market. In longevity, there is no cash market.

Class II: The bank offers protection against moves in interest rates, and hedges in the interest rate futures market. There is no longevity futures market. In theory, one could be formed - but only once the derivatives market was running.

Class III: The bank offers protection against inflation. To hedge this, it gets access to an inflation-proofed cash flow, for instance from a utility. There are no longevity-proofed cash flows.

Class IV: The bank finds natural buyers and sellers of the same class of risk and brings them together, as with weather derivatives. A Florida orange grower is nervous of frost, while a neighbouring electricity supplier is nervous of a warm spell. So one pays the other if the temperature is above or below a specified level. Thetwo risks cancel out.

On the face of it, Class IV sounds promising. Pension funds and life insurers face longevity risk of opposite kinds. In bald terms, life insurers want you to die old, while pension funds want you to die young.

Therefore, some argue, they are a natural match. Others are less sure. The steep falls in mortality rates in recent decades have been primarily among the old. Younger people still drive cars too fast, or face novel threats such as Aids. These are risks which concern the life insurers but do not affect pension funds.

Conversely, the pensionfunds have to worry about people living further into their eighties, but many of them will have collected on their life insurance already. So the two classes of risk are not so well matched as they look. Nevertheless, the thought is worth holding on to. The question, remember, is not how to match buyers and sellers ina developed market. It is howto develop the market in the first place.

Meanwhile, one interesting new arrival is the longevity swap, apparently on offer from some investment banks. This works in a way analogous to interest rate swaps, wherebya fixed rate is swapped for a floating one.

The fixed rate here is an agreed projection - say, over 25 years - of the annual mortality rate. The floating rate is the actual outcome. Both parties agree that - for instance - of 100,000 65-year olds, 2,000 should die in year one and so forth. If the figure turns out higher, one party has to put up collateral, and vice versa.

The mortality projections used are the result of complex actuarial calculations - in other words, a model. But all such markets start that way. As they develop, the model becomes redundant.

Thus, the weather derivatives market in the US, being only a decade old, still relies partly on actuarial models. But in interest rate futures, all that mattersis the market price, which embodies all the models in use and strikes the balance between them.

If such a developed market existed for longevity, all kinds of advantages might follow. The various traded instruments could be packaged together, as with credit derivatives, then sliced and diced variously.

The package could be divided up by age groups, to suit individual pension funds' exposure. Or by geography, so that a fund with members in an area with low life expectancy, such as Glasgow, could do deals with high expectancy areas such as the south coast of England.

That brings us back to our start. Establishing this market will be formidably difficult.But given the brain-power and potential profits, and the scale and variety of pent-up demand, it could happen sooner thanwe think.

Copyright The Financial Times Limited 2006

http://www.ft.com/cms/s/6153d2b0-7e85-11db-84bb-0000779e2340.html


longevity risk をどうやってヘッジするべきかということについて、既存のデリバティブ市場との対比という観点から書かれています。そして、やはり反対の需要をマッチングさせるのがよかろう、と。反対の需要というのは言うまでもなく、生命保険会社と年金です。そして、債券の形にしなくても、longevity swap(スワップです)の形でけっこういけるのではないか、と(ぼくの勝手な解釈がちょっと入っているかもしれません)。

もちろん市場がある程度整備されて、ユーザー(生保、年金が主でしょう)にとって使い勝手がよくなるまではまだまだ時間がかかるかと思いますが、市場の規模はかなり大きなものになるのでしょうね。日本とかを除けば、まだ当分は世界の人口は増え続けるでしょうし。

とか思っていたら、以下のように、本日のファイナンシャルタイムズにも同じような記事が載っていました。


JP Morgan eyes new pension markets
By David Wighton in New York

Published: November 28 2006 22:09 | Last updated: November 28 2006 22:09

JPMorgan Chase is working on plans to create a new securities market that will give pension schemes an easy way to lay off the risk that members will live longer than expected.

Other banks, including Deutsche Bank and BNP Paribas, are also rushing to develop new securities and derivatives to hedge so-called longevity risk, creating a new asset class that some experts believe could one day outstrip the booming credit derivatives market.

The rest of this article is for FT.com subscribers only

https://registration.ft.com/registration/barrier?referer=http://search.ft.com/searchResults?queryText=JPMorgan+pension&javascriptEnabled=true&x=15&y=3&location=http%3A//www.ft.com/cms/s/fd138c5a-7f0b-11db-b193-0000779e2340.html


「この longevity risk の市場は、現在のクレジットデリバティブの市場規模(約$26,000bn = 約3,000兆円!!!)をも将来的には上回るだろう」というコメントが含まれていました。これがまことであるならば大変な規模です。投資銀行各社はしのぎを削って競い合うことは間違いないでしょう、、、


ちなみに、先日書いた「死亡率債(Mortality Bonds)、ついに発行」について、大学時代の友人からつっこまれました。Swiss Reがすでに発行しているではないか、と。ということで、おそらく「保険会社として初めて」ってことだったのだと思います(推測ですが、、、)。


試験勉強せねば、、、

少し前後してしまいますが、11月20日付けのファイナンシャルタイムズに以下のような記事が載っていました。ここ最近、mortality bonds に関する記事を紹介しましたが、こちらは自然災害に関する債券です。いわゆる、Catastrophe bonds (Cat bonds)と呼ばれるものです。


Catlin and ABN innovate on risk
By Paul J Davies in London

Published: November 20 2006 02:00 | Last updated: November 20 2006 02:00

Catlin, the Lloyd's of London insurer, and ABN Amro, the Dutch bank, have invented a new way of offloading extreme risk into international capital markets in a move that could change the way insurance for natural catastrophes and other areas is funded.

The two groups sold late on Friday a deal that bundles together a number of different extreme natural catastrophe risks in a way that allowed them to achieve a higher credit rating than any previous so-called catastrophe bond, which helps to encourage a broader range of investors to buy.

https://registration.ft.com/registration/barrier?referer=http://search.ft.com/searchResults?queryText=catlin+abn&javascriptEnabled=true&location=http%3A//www.ft.com/cms/s/eb1ef15a-783b-11db-be09-0000779e2340.html


FTのウェブには詳細が載っていません(購読者のみ閲覧可)が、手元のFTによると、Cat bonds のシンセティックCDO(Collateralised Debt Obligation)を組成したようです。これにより、自然災害のリスクをとる債券で過去最高の格付けを取得したとか。

CDOを組成するほどキャットボンドって発行されているのでしょうか。けっこう大変だと思うのですが。

それにしても、どんどん複雑な商品が現れるものですね。

先日、mortality bonds について書きましたが、今日のファイナンシャルタイムズ1面トップも同じような death risk に関する記事でした。来年以降、ロンドンで death risk の証券化市場が急拡大していくだろう、といった内容です。

mortality bonds に対する反対側の商品が longevity bonds (長生き債?、前回に引き続きこれもまだ正式な訳語はないと思われます)で、あらかじめ決められた死亡率ほどには死亡者が出なかった場合にデフォルトを起こすような債券です。これらの mortality derivatives 商品を Deutsche Bank や BNP Paribas などが開発していると述べられています。

保険会社からしてみれば想定よりも多くの人が死亡してしまうことが、そして年金からしてみれば想定よりも多くの人が生きのびてしまうことが、それぞれ損失につながってしまうということです。これらのリスク要因をうまく相殺する形でそれぞれがヘッジできるようなスキームを提供するのがこういった longevity derivatives なのだと思います。

今後、急速に市場は拡大していくのでしょうねぇ、おそらく。


Trading in death risk offers boom for London
By David Wighton in New Yorkand Gillian Tett in London

Published: November 23 2006 02:00 | Last updated: November 23 2006 02:00

London is set to become the centre of a potentially huge new global market in trading "longevity risk" faced by pension funds, industry experts predict.

Leading investment banks and insurance companies are working on the design of new securities expected to be launched next year. The moves come as the pension industry is frantically looking for ways to meet its growing obligations.

David Blake, professor of pension economics at City University, forecast the new market would eventually outstrip credit derivatives, which have ballooned to $26,000bn. "The potential is enormous and it will start to happen very soon."

The market is expected to start in London rather than New York partly because of a favourable regulatory regime. Analysts say prescriptive pensions legislation and the threat of class-action lawsuits make US pension schemes nervous of innovation.

This week, Hank Paulson, US treasury secretary, warned the rule-based approach to regulation in the US was undermining the competitiveness of its capital markets.

Partha Dasgupta, head of the UK Pension Protection Fund, the statutory safety net for schemes, said the fund was encouraging investment banks to co-operate in designing the securities.

He is optimistic that a market will develop to allow pension funds to offload some of the risk that their members live longer than expected.

The new securities are likely to include variations of "mortality bonds" - whose value falls if deaths occur earlier than expected - and "longevity bonds" - which move the opposite way. Banks such as Deutsche Bank and BNP Paribas are working on "mortality derivatives".

The move comes as the pension industry faces a growing asset-liability mismatch - partly because pensioners are living longer - and accounting rules are encouraging companies to reduce their exposure to pension risks.

A wave of new insurance companies has been formed to take over UK corporate pension schemes and these are expected to have a more creative attitude towards managing risk than traditional pension trustees. At the same time, a flood of hedge fund money is looking for new investments. Hedge funds have piled into catastrophe bonds, which bet on natural disasters.

Rob Procter, a former Morgan Stanley analyst who now runs Securis Investment Partners, a hedge fund investing in insurance risk, said the buy-out vehicles would look to securitise some of their pension-related risk.

Some bankers are sceptical about how quickly the market will take off and point to the mixed success of previous efforts. But Professor Blake, who is a consultant to a number of leading investment banks, said the market reception to a mortality bond issued last week by Axa, the French insurer, showed there was "a very significant market".

Copyright The Financial Times Limited 2006

http://www.ft.com/cms/s/ba0edc32-7aa8-11db-8838-0000779e2340.html

今週火曜日のファイナンシャルタイムズに Mortality Bonds (「死亡率債」という訳語が正しいかどうかは不明です)に関する記事が載っていました(ちょっと専門的な話かもしれませんので、興味ない方は読み飛ばしてください)。

Investors snapup mortality bonds from Axa By Martin Arnold in Paris

Published: November 14 2006 02:00 | Last updated: November 14 2006 02:00

Axa, the French insurer, yesterday celebrated the macabre success of its latest idea to remove risk from its balance sheet by selling €345m ($442m) of mortality bonds to investors.

Investors snapped up the four-year bonds, the first of their kind to be issued by a principal insurer, and they were almost four times subscribed.

https://registration.ft.com/registration/barrier?referer=http://search.ft.com/searchResults?queryText=mortality&javascriptEnabled=true&x=8&y=5&location=http%3A//www.ft.com/cms/s/e3dc5984-7384-11db-9bac-0000779e2340.html

以前から Mortality Bonds, Mortality Swaps などの話は出ていましたが、ついに出たか、という感じです。

4つのトランシェにわけるようで、S&P で AAA から BB+ (ジャンク!) まであるようです。クーポンはBB+のもので、3M LIBOR + 500bp だとか。そして最も注目されるデフォルトの条件ですが、フランス(60%)、米国(15%)、日本(25%)における死亡率が、あらかじめ定められた率を2年連続して上回ると発生するように設計されているようです。

これによって、発行体であるアクサは Mortality の新たなヘッジ先を手に入れたというわけですね。保険会社のリスクの担い手として、再保険会社がある(どれほどのリスクを取ってくれるのか詳しくは知りません)わけですが、サイズ的にも限界があったわけです。今回のスキームによって、リスクの担い手を幅広く資本市場に求められるようになったということで、けっこうインパクトのあるディールなのではないでしょうか。今回はもっぱら機関投資家に販売されたようですが(販売は Swiss Re, Lehman Brothers, and Ixis corporate and investment bank)。


ちなみにアクサのプレスリリースは以下のページです。発行条件などもPDFで載ってます。

11/13/2006 - AXA announces the successful completion of its first mortality risk securitization transaction

AXA announces today the implementation through a special purpose vehicle, "OSIRIS Capital plc", of a Euro 1 billion shelf program to transfer mortality risk to the capital markets.
This shelf program is a flexible and efficient structure to diversify sources of cover for the Group's mortality risk exposure by benefiting from the broad capacity of capital markets.

http://www.axa.com/lib/en/library/pr/group/2006/2878.aspx

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