IBプロジェクトを振り返って

ずいぶんと時間があいてしまいましたが、Manchester Business School のMBA プログラムの最終学期であるIBプロジェクトを簡単に振り返ってみたいと思います。

感想を一言で書くと、マンチェスタービジネススクールを選んでよかったなぁ、と正直思いました(母校に対するバイアスが多少はあるかもしれませんので、あしからず)。想像していたよりもずっとプレッシャーがあり、忙しかったけど、とても勉強になりました。

このブログでは何度も内容を書いていますが、簡単に説明すると、IBプロジェクトは実際の企業のクライアントに対して、3ヶ月弱の期間で行うコンサルティングプロジェクトです。学生は、5名か6名のチームを組み、コンサルティングを行います。

プロジェクトのテーマは多岐にわたり、マーケティング系、ストラテジー系、アカウンティング/ファイナンス系、などいろいろなものがあり、クライアントも超一流企業からベンチャー企業まで様々なところがあります。IBプロジェクト前までの約15ヶ月で勉強してきたMBAプログラムのまさに集大成で、必要な知識を総動員します。プロジェクトのテーマとしては、大きくは上に挙げたように分類されますが、マーケティングだからと言ってマーケティングの知識だけがあればよいかと言えばそうではなく、様々な側面から目の前のクライアントが抱えている問題点を検討し、ソリューションを構築していくことになります。


ぼくらのプロジェクトは製薬業界とその周辺業界のストラテジックアライアンスに関するプロジェクトで、あえて分類するならストラテジー系でした。しかし、製薬業界のアクティビティ全般、つまりR&Dから、ディストリビューション、セールスまでの様々な面でどのようなアライアンスが構築できるかを検討するためには、一般的なストラテジーの知識というよりも、製薬業界(特にレギュレーションなど)、ストラテジックアライアンス、ファイナンス、マーケティング、知的財産(Intellectual Property)など様々な知識が必要となりました。当然、勉強したことがなかった分野も多いので、必要に応じてその場で勉強していきました。

またストラテジックアライアンスと言っても、資本関係を伴わない業務提携、資本関係を伴う業務提携(関連会社、持分法適用会社、子会社など持分に応じていろいろあります)、M&Aといった様々な選択肢があり、その分野での成長性を考えながら、短期的な視点、長期的な視点での各選択肢のリスクとリターンを検討していきました。また世界の中で、どの地域でアライアンスを行っていくのがよいのか、その分野での成長性や規制などを視野に入れながら検討していきました。

そして、検討していく際にもっとも貴重な情報源がプライマリーリサーチのインタビューです。クライアントの社内のキーパーソンはもちろん、提携先候補(勝手に候補になりうるとぼくらで思っているだけで、クライアントから指定されたわけではありません)の企業が属する業界、ケーススタディのための完全に別業界(例えば自動車、レストラン、投資銀行など)に属する企業など、米国、欧州、日本の企業をまわり、インタビューを行ってきました。ぼくらのプロジェクトは英語(+日本語)があれば、なんとかインタビューは可能でしたが、プロジェクトによっては、中国語であったり、ロシア語であったり、スペイン語であったり、様々な言語が必要なプロジェクトもありました(ネイティブスピーカーがチーム内にいない場合は、通訳を雇ってインタビューを行ったそうです)。

セカンダリーリサーチ(文献やデータベースなどの二次情報を使った調査)、プライマリーリサーチ(インタビュー、アンケート調査などの一次情報を取得する調査)と行った後に、データを分析し、クライアントに対するベストなソリューションをチームで考えていきます。ここでは、けっこうもめました。意見が対立することもよくあり、なかなか方向感が定まらずに時間ばかりが経過していくこともしばしばでした。

この時に感じたのは、リーダー(もしくは経験者)の不在です。残念なことにぼくらの指導教官は、方向性を明確に示すことはなく、「自分たちでよいと思うようにやれ」と言うばかりでしたので、ソリューションを導くにあたってのガイドという役割はありませんでした。一方で、チームのメンバーにコンサルタント系の経験者もおらず、業界に精通している人間もおらず、チームの各メンバーがほぼ平等の立場でした。実際の職場では、最終的な責任を取るマネージャーがなんらかの最終決定を行う場合が多いと思いますが、ぼくらの場合は意見が対立してしまい、お互いが納得できないと、いつまで経っても議論が平行線ということがありました。これはMBAでのグループワークという特殊環境だとは思いますが、けっこうつらい状況でした。

また、MBAでの特殊環境と言えば、クライアントに向かって仕事をするか、アカデミックに向かって仕事をするか、といったことが挙げられます。クライアントに対するベストなソリューションを提供しようとすると、それがアカデミックの求める成果ではなかったり、といったことが起こりえます。もちろん両者が大満足な結果を出すことができればベストなのですが、実際にはなかなかうまくいきません。そして、チーム内にも、成績をかなり気にしている人もいれば、アカデミックよりもクライアントを満足させよう!と考える人もいて、このあたりのバランスがなかなか難しいなぁ、と思いました。


だらだらと書いてしまいましたが、IBプロジェクトを経験できて本当によかったなぁ、とぼくは思います。マンチェスタービジネススクールMBAの看板プログラムだけあって、いろいろな意味で本当に勉強になりました。かなり視野を広げることができたと思います。

マネジメントの仕事って、結局は「人を動かす」という一言に尽きるのだと、現時点では考えています。

IBプロジェクトでした。

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投資家的観点から日々思うことを書きたいと思います。まあ、ただの日記なのですが。
Manchester Business SchoolでのMBA留学を終え、2008年4月に帰国しました。最近は不動産投資やマイホーム購入に興味を持っています。


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