確定拠出年金についての改正案が国会に提出されたということで、日経新聞に記事が掲載されていました。

確定拠出年金、誰でも利用可能に 政府が改正案提出 2015/4/4 1:15

政府は3日、運用成績でもらえる年金額が変わる確定拠出年金法の改正案を国会に提出した。私的年金の一種である確定拠出年金の条件を緩め、主婦や公務員など誰でも使えるようにする。働き方の多様化にあわせ年金資産を転職先に持ち運びやすくする。財政悪化が進む公的年金を補完する私的年金の拡充を急ぐ狙いだ。

 確定拠出年金には、個人が自ら加入する「個人型」と会社単位で加入する「企業型」がある。改正案が成立すれば、2017年1月から専業主婦など(950万人)、公務員(440万人)、企業年金に加入している会社員(約1300万人)の計2700万人が個人型の確定拠出年金を利用できるようになる。掛け金上限は専業主婦の場合年27万6000円、公務員は14万4000円だ。

 約500万人が加入する確定拠出年金は、政府が運営する国民年金や厚生年金に上乗せする企業年金の一種だ。受取額が決まっている確定給付年金と違い、掛け金の運用成績で受け取る年金が変わる。投資信託など運用商品は加入者自らが選ぶ仕組み。掛け金全額を所得から差し引けるうえ、運用で得た利益は非課税になる。

 今回のもう一つの改正点は、転職や出産後の再就職などそれぞれの事情にあわせて、確定拠出年金を持ち運べるようにした点だ。

 これまでの制度では、確定給付型年金なら転職時に移管することは可能だった。だが、確定拠出年金の場合、新しい職場の企業年金が確定給付型だと持ち運べなかった。制度改正により、自分が加入する確定拠出年金を新たな勤務先に移管できるようになる。

 改正案には中小企業の企業年金普及策も盛り込んだ。従業員が100人以下の企業を対象に、掛け金の上限を5000円程度に抑えた「簡易型確定拠出年金制度」をつくる。保険料の負担や商品数を絞る。金融機関に事務を委託できるようにし、中小企業の事務負担を軽くする。解散が相次ぐ厚生年金基金の受け皿とする考えだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H5K_T00C15A4EA2000/

確定拠出年金、使い勝手になお課題 2015/4/4 1:15

 確定拠出年金は日本版401Kとも呼ばれ、2001年に鳴り物入りで始まった。高齢者の増加で目減りする公的年金給付を補う仕組みだが、加入に手間がかかるのが難点で、使い勝手は良くない。

 「手続きが煩雑でやめた」。確定拠出年金の対象拡大を受け、加入を検討していた東京都内に住む30代男性はこう話す。例えば、規制により大半の銀行窓口では勧誘や加入の手続きができない。加入したい人は確定拠出年金の運営管理機関に申し込むなどの複雑な手続きが必要になる。

 現在の制度で、個人型の確定拠出年金を利用する人は18万人にとどまる。もともと、税負担が軽いお得な制度だが、その利点が生きていない。使い勝手を良くする制度改革が急務になりそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS03H62_T00C15A4EA2000/


専業主婦や、公務員を含め、加入対象者が大幅に拡大するということで、最近しばしば目立っていますが、今後、個人型確定拠出年金はどのくらい浸透するでしょうか。

うちの奥さんも専業主婦ですが、はたして加入したいと思うような制度なのでしょうか。

個人的には、運営管理機関等に支払う手数料を大幅に下げるか、掛け金の上限を大幅に引き上げるか、当初だけでも一括拠出を認めてある程度の金額で最初から運用可能にするか、をしなければ、加入には二の足を踏んでしまう気がします。

以下、ぼくがこのように考える理由を説明します。

まず、専業主婦の場合、基本的に所得がないわけですから、確定拠出年金のメリットの一つである所得控除の恩恵が受けられませんので、そのメリットは受けられません。

さらに、法改正後、手数料体系が現在と同じであるならば、個人型確定拠出年金の加入者は毎年平均4000円くらいを支払う必要があるわけですが(具体的な数字は、例えば以下のモーニングスターのページなど)、一方で、専業主婦の場合、掛け金上限が27.6万円ということで、初年度の平均掛け金残高13.8万円となります。

http://www.benefit401k.com/morningstar/doc/select_03.html

つまり、初年度は運用残高が13.8万円程度しかないにもかかわらず、口座維持手数料のような手数料(加入している期間は毎年発生)が年間4000円、つまり、初年度は残高に対して、4000/138000 = 約2.9%もかかることになります!

2年目になっても、残高は1年目の27.6万円に、2年目の13.8万円(平均残高)を加えた41.4万円程度ですから、4000/414000 = 0.97% 程度かかることになります。

徐々に手数料率は低下していくものの、合理的に判断してしまうと、この加入初期の高い手数料率はネックになってしまうのではないかと思うわけです(手数料が高いという印象は否めない)。

ということで、先ほどの「運営管理機関等に支払う手数料を大幅に下げるか、掛け金の上限を大幅に引き上げるか、当初だけでも一括拠出を認めてある程度の金額で最初から運用可能にするか」という意見につながるわけです。つまり、約4000円かかる手数料を単純に引き下げるか、残高に比例する形にすることで残高が小さい加入者の方の負担を下げるか、残高をもっと初期から大きくすることが可能なように掛け金の上限を引き上げるか、毎年の拠出額はこのままであったとしても、当初一括で拠出できるようにすることで運用残高を大きくすることを認めるようにする、といったこれらいずれかの改良がされると、加入者が感じる手数料の負担感は軽減されるのではないかと思います。

専業主婦の例で計算してみましたが、公務員の場合には掛け金上限がさらに低いので手数料率はもっと高くなるわけで、このままだと、個人型確定拠出年金はなかなか浸透しないのではないかと思ってしまいます。なんとかならないものでしょうか。

ちなみに、確定拠出年金についての入門書としては以下の本がおすすめです。ちょっとタイトルがミスリーディングではありますが、内容はとてもわかりやすくよい本だと思います。

金融機関がぜったい教えたくない 年利15%でふやす資産運用術
竹川 美奈子
4761268840